マイクロソフト(MSFT)の最高経営責任者(CEO)であるサティア・ナデラ氏は、今週初めに自社株の急落を引き起こした中国の人工知能(AI)新興企業、ディープシークについて言及しました。この企業は、オープンソースのAIモデル「R1」を発表し、米国のハイテク業界に衝撃を与えています。
ディープシークの革新を評価するナデラ氏の発言
マイクロソフトが四半期決算を発表した後に行われた投資家向けの電話会議で、ナデラ氏は「ディープシークには真のイノベーションがあった」と述べました。また、「明らかに、今後はすべてがコモディティ化され、広く使われるようになるだろう」との見解を示しました。
ディープシークの成功を受けて、一部の投資家からは、マイクロソフトがAIインフラにこれほど多額の資金を投入する必要があるのかという疑問の声が上がりました。ナデラ氏は、AIモデルのトレーニングや推論(ユーザーからの問い合わせを処理するプロセス)のコスト削減をすでに進めていることを強調しました。
マイクロソフトのAIインフラ効率化の取り組み
ナデラ氏は、「私たちはここ数年で、トレーニングと推論の両方において大幅な効率化を実現している」と述べました。さらに、同社は自社のソフトウェアを活用し、新世代のAIモデルやAIハードウェアのパフォーマンス向上とコスト削減を推進していると説明しました。
また、マイクロソフトはオープンAIと連携し、AIの最新技術を提供するだけでなく、コスト効率の良い運用にも力を入れています。「サービスの提供コストが高すぎるのであれば、意味がない」とナデラ氏は強調しました。
データセンター投資とAIインフラの将来
マイクロソフトは、AI関連製品に対する需要の高まりに対応するため、2025年度もデータセンターに800億ドルを投じる予定です。しかし、2026年度(2025年7月以降)には投資の増加ペースが鈍化する見込みです。
このような大規模な投資にもかかわらず、一部の投資家はAIインフラのコストが適正であるかどうかを疑問視しています。特に、ディープシークのような新興企業がオープンソースモデルを活用し、低コストで高度なAI技術を提供できる状況が、業界の競争環境に影響を与えていると考えられています。
ディープシークによるオープンAI技術の不正利用疑惑
28日にブルームバーグ・ニュースが報じた記事によると、マイクロソフトとオープンAIは、ディープシークに関連するグループがオープンAIの技術から出力されたデータを無許可で入手した可能性について調査を進めているとのことです。この疑惑が事実であれば、マイクロソフトやオープンAIにとって大きな問題となる可能性があります。
それにもかかわらず、マイクロソフトはディープシークのAIモデルを顧客に提供する方針を維持しています。29日には、企業がAIプログラムを設計・管理するために使用できる1,800以上のモデルを揃えた「Azure AI Foundry」に、ディープシークのR1を追加したことを発表しました。
今後の展望
AI技術の進化により、市場ではオープンソースモデルの活用が広がっています。ディープシークの成功は、業界における競争の激化を示しており、マイクロソフトをはじめとする大手テクノロジー企業は、いかにコスト効率を高めつつ高度なAIモデルを提供するかが重要になっています。
2025年以降も、マイクロソフトとオープンAIは競争力を維持しつつ、AI市場におけるリーダーシップを確立するために、さらなる技術革新とコスト削減を進めていくと予想されます。
*過去記事 マイクロソフト MSFT