エヌビディア(NVDA)の株価は、2025年に入ってからも大きく変動しています。1月27日には17%の下落を記録したものの、28日には9%上昇しました。しかし、29日には再び下落に転じ、午前11時過ぎの段階で4.8%安の122.8ドルで取引されています。
このような株価の動きには、半導体業界全体の流れや市場の不安要素が影響しています。特に、オランダの半導体製造装置メーカーであるASMLホールディング(ASML)が好調な決算を発表したにもかかわらず、エヌビディアの投資家は慎重な姿勢を崩していません。
中国企業ディープシークのAI技術が市場に与える影響
中国の新興企業であるディープシークが開発した人工知能(AI)モデルは、欧米の大手企業と肩を並べるほどの性能を誇りながらも、開発コストは数分の一に抑えられていると報じられています。特に、ディープシークのチャットボットはアップル(AAPL)のApp Storeで最もダウンロードされたアプリのトップにランクインし、大きな注目を集めています。
しかし、アナリストの間では「560万ドルという低コストで高度なAIモデルを訓練した」というディープシークの主張に対して疑問の声も上がっています。この技術革新が実際にどの程度の影響を持つのか、今後の動向が注目されています。
半導体市場の継続的な成長とASMLの業績
投資家たちは、ASMLの決算発表を通じて、半導体製造装置に対する需要の動向を確認しようとしていました。そして、ASMLは29日の早朝に発表した決算で好調な業績を示し、先進的な半導体製造装置の需要が引き続き堅調であることを裏付けました。ASMLの米国預託証券(ADR)は午前の取引で5%上昇し、市場の期待に応える形となりました。
しかし、エヌビディアの投資家にとっては、ASMLの業績だけでは十分な材料とはならず、さらなるニュースを待つ展開が続いています。
マイクロソフトとメタの決算が鍵
29日の取引終了後には、マイクロソフト(MSFT)とメタ・プラットフォームズ(META)が決算を発表する予定です。両社が今後、データセンターへの投資を増やす計画を明言すれば、エヌビディアの株価がさらに上昇する可能性があります。
一方で、ディープシークのAI技術が、自社製のチップを活用することで、より低コストかつ効率的なインフラを提供できると市場が評価した場合、エヌビディアの優位性が脅かされる可能性も指摘されています。
AI市場の変化がエヌビディアに与える影響
AI業界全体において、新技術の登場は企業の設備投資動向に影響を与える可能性があります。特に、ディープシークのAIモデルが成功を収めた場合、ハイパースケーラー企業(大規模なクラウドインフラを運営する企業)によるAI設備投資の減速を引き起こすかどうかが焦点となっています。
この点について、HSBCのアナリストであるフランク・リー氏は、「エヌビディアの成長余地は依然として大きい」と評価し、同社の株価に対する「買い」推奨を維持しました。さらに、目標株価を185ドルに据え置き、長期的な成長の可能性を見込んでいます。
まとめ
エヌビディアの株価は、市場全体の変動や競争環境の変化によって影響を受けています。ASMLの好調な業績は半導体業界全体の成長を示唆するものの、エヌビディアの投資家はさらなるニュースを待ち望んでいます。また、ディープシークのAI技術がAI業界に与える影響は、今後の市場動向を左右する要素となりそうです。
マイクロソフトやメタ・プラットフォームズの決算発表が、データセンターへの投資計画をどのように示すかが、エヌビディアの株価にも大きく影響を与えそうです。今後もAI市場の進展と半導体業界の動向を注視していくことが重要です。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA