ディープシーク vs オープンAI!AI技術の覇権争いと投資戦略

エヌビディアをはじめとする人工知能(AI)関連銘柄は、中国のディープシークが高性能AIモデル「R1」を発表した際の急落から依然として回復していません。このセクターは約15%下落しており、これはディープシークがオープンAIやマイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)のグーグル、メタ・プラットフォームズ(META)といったAI業界のリーダーと競合する存在になったことが影響しています。

さらに、ディープシークがマイクロソフトのデータセンターでホストされているオープンAIのシステムからノウハウを入手した可能性があるとの懸念が浮上しています。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、オープンAIとマイクロソフトはディープシークが不正にオープンAIのデータを利用して自身のAIモデルを訓練したかどうかを調査しており、この活動を米政府に報告しています。

AI技術の「蒸留」に関する懸念

ドナルド・トランプ大統領のAIアドバイザーであるデイヴィッド・サックス氏は、Foxニュースの取材に対し、「蒸留」と呼ばれるAI学習手法の不適切な使用によって知的財産の盗難が発生した可能性があると述べました。

オープンAIの広報担当者は、ディープシークがオープンAIのモデルを不適切に蒸留した可能性があることを認識し、現在検討を進めていると明かしました。マイクロソフトはこの件についてコメントしていません。

蒸留とは、大規模AIモデルの出力を使用して、より小規模なAIモデルを訓練する手法で、言語翻訳や問題解決、プログラミングなどの分野で広く活用されています。しかし、オープンAIの利用規約では、顧客がオープンAIのモデル出力を用いて競合するAIモデルを開発することを禁止しています。

ブルームバーグの報道によると、マイクロソフトは昨年、一部の中国企業がオープンAIのAPIを使用し、大量のデータをエクスポートする違反行為を行っていることに気付き、関連するアカウントをブロックしました。

AI業界におけるエヌビディアの立ち位置

エヌビディアやマイクロソフト、グーグル、オラクル(ORCL)などの企業は、AIモデルの蒸留技術がどの程度脅威となるかを慎重に分析する必要があります。特に、外部の企業が蒸留などの手法を用いて安価にAI製品を模倣できるかどうかが問われています。

オープンAIの広報担当者は、最先端のAIモデルを保護するために米国政府と連携し、積極的な対策を講じていると述べています。

ディープシークのR1モデルには、技術的な欠陥は指摘されていません。一部の業界専門家は、同社の効率的なAIモデル開発技術を評価しています。しかし、Anthropicの最高経営責任者(CEO)であるダティオ・アモデイ氏は、AI業界全体が技術効率の向上を続けており、ディープシークの進化も他の業界を追随しているに過ぎないと指摘しました。

エヌビディアの成長を支える要因

アモデイ氏によると、AI性能の向上は、エヌビディア(NVDA)のプロセッサを活用したハイパースケールクラスターによって推進されており、今後もこの流れは続くと予想されています。ディープシークは2022年および2023年の米国の輸出規制の影響下で、入手可能だったエヌビディアのプロセッサを使用してAIモデルを開発しましたが、一部の高度なチップは密輸によって入手した可能性も指摘されています。

バイデン政権はAI分野での優位性を維持するため、輸出規制の強化を進めていました。アモデイ氏は、米国とAIのリーディングカンパニーが競争力を維持するには、厳格な規制を継続することが極めて重要であると述べています。

投資家への影響

エヌビディアをはじめとするAI関連銘柄は、ディープシークのような競合の台頭や技術流出のリスクに直面しています。一方で、AI市場の成長は今後も続くと考えられ、エヌビディアのプロセッサ需要は引き続き高い水準を維持すると見込まれます。

投資家は、米中関係やAI技術の規制動向に注目しつつ、エヌビディアや関連銘柄の中長期的な展望を見極める必要があります。

*関連記事「AI戦争勃発?ディープシーク vs オープンAI、データ不正入手疑惑の真相

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