エヌビディア、過去最大の時価総額損失!中国AIモデルの脅威とは

エヌビディア(NVDA)の株価は、1月27日の米国市場で16.97%安という大幅な下落を記録しました。株価は118.42ドルまで下落し、1日で5930億ドルの時価総額を失いました。この急落は、エヌビディアにとって過去最大の市場価値損失となり、2024年9月3日に約3000億ドルを失ったときの記録を大幅に上回りました。

今回の株価下落の要因は、中国のディープシークが発表した低コストで欧米企業に匹敵するAIモデルに対する市場の反応でした。このニュースは半導体業界全体に波紋を広げ、ナスダック市場も大きく影響を受けました。

エヌビディアの市場地位の変化

今回の下落により、エヌビディアは時価総額でアップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)に次ぐ3位に転落しました。現在の時価総額は以下の通りです。

  • アップル:3兆4600億ドル
  • マイクロソフト:3兆2200億ドル
  • エヌビディア:2兆9000億ドル

一方、ハイテク企業が多いナスダック市場が3%下落した中で、AI関連のエクスポージャーが少ないアップルは3%上昇しました。

他の半導体関連企業への影響

エヌビディアだけでなく、他の半導体関連企業も大きな影響を受けました。

  • マーベル・テクノロジー(MRVL):19.1%下落
  • ブロードコム(AVGO):17.4%下落
  • アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD):6.37%下落
  • ASMLホールディング(ASML):5.75%下落
  • 台湾セミコンダクタ・マニュファクチャリング(TSM):13.33%下落

市場全体がディープシークのAIモデル「R1」の発表による影響を大きく受けた形となりました。

ディープシークの台頭とその背景

ディープシークは、AIモデルのトレーニングにかかったコストを560万ドルと発表しました。これは、米国企業がAIモデル開発に費やす数億ドルと比較して非常に低コストです。ただし、このコストには研究開発費が含まれていない点には注意が必要です。

このモデルは、エヌビディア製のGPUを使用してトレーニングされたことが確認されていますが、米国の輸出規制が今後のモデル開発に影響を与える可能性があります。さらに、Scale AIのCEOであるアレクサンドル・ワン氏は、ディープシークが米国の輸出規則に違反して大量のエヌビディア製GPUを入手した疑惑を指摘しています。

市場の反応と今後の展望

ディープシークの成功がAIチップ需要に与える影響は、すぐには明確にならないものの、短期的には半導体株への圧力が続くと予想されています。ただし、市場が過剰反応している可能性も考えられます。

ウォールストリート・ジャーナルは、ディープシークが持続的にエヌビディアのGPUを使用し続けることは難しいとの見解を示しています。また、米国政府が国内AI産業を積極的に支援している背景もあり、エヌビディアが引き続きAI分野で重要な役割を果たす可能性が高いと考えられます。

エヌビディアへの影響と主要顧客の動向

マイクロソフトやメタ・プラットフォームズ(META)のAI分野への巨額投資も、エヌビディアにとって重要な要因です。マイクロソフトは2025年度に800億ドルのAI関連投資を予定しており、メタも少なくとも600億ドルを投じる計画です。この資金の多くがエヌビディア製チップに費やされる見込みですが、ディープシークの技術革新を受けて、顧客がこのような投資を維持するかどうかが注目されています。

まとめ

エヌビディアの株価急落は、ディープシークの発表と市場の反応によるものですが、長期的な影響を判断するにはさらなる検証が必要です。エヌビディアの技術的優位性や顧客基盤を考えると、短期的な下落は一時的なものである可能性もあります。

エヌビディアが今後のAI市場でどのように戦略を展開するのか、引き続き注視が必要です。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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