エヌビディア(NVDA)の株価が、1月27日の米国市場のプレマーケットで急落しました。背景には、中国企業ディープシークによる新型AIチャットボット「R1」の評価が急上昇していることが挙げられます。この状況は、米国のテクノロジー株全体の今後の成長見通しに対する懸念を引き起こしています。
エヌビディアの株価はプレマーケットで11.4%の下落を記録し、126.3ドルで取引されています。一方、S&P 500指数に連動する先物も2%下落するなど、市場全体への影響も確認されています。
ライバル企業も同様の影響を受ける
エヌビディアだけでなく、同業他社の株価も大きな影響を受けています。ブロードコム(AVGO)はプレマーケットで14%の下落を記録しました。また、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は5.5%の下落となっています。さらに、欧州市場では半導体製造装置メーカーASMLが11.1%の下落を記録しました。
ディープシークの新型AIモデルR1が引き起こした波紋
シリコンバレーで発表された中国企業ディープシークの新型AIモデル「R1」は、その性能が高く評価されています。R1は、わずか560万ドルという低コストでトレーニングされたにもかかわらず、OpenAIのChatGPTなどの競合モデルとほぼ同等の性能を発揮していると言われています。このニュースが市場全体に衝撃を与えました。
ディープシークは、開発費用に関して560万ドルを公表していますが、この数字には研究開発費が含まれていないとしています。それでも、米国の大手テクノロジー企業がAIモデルの開発に投じている数十億ドルに比べて極めて低コストである点が注目を集めています。
エヌビディアの売上に対する影響
ディープシークの成功は、エヌビディアの今後の売上に対する懸念を引き起こしています。同社の株価は、AI支出ブームの中で同社のチップに対する需要が急増したことで、2022年10月末以降900%以上の上昇を記録してきました。しかし、新しい競合の登場により、このペースが続くかどうかについて市場関係者の間で疑問が広がっています。
エヌビディアをはじめとする半導体メーカーにとって、AI関連の成長が引き続き重要な要素であることは明らかです。しかし、ディープシークのR1のような競争力のある技術が登場したことで、業界全体の競争がさらに激化する可能性があります。今後の動向に注目が集まっています。