ビストラ(VST)は、米国における電力市場で重要な存在感を持つ発電事業者です。同社は石炭、天然ガス、原子力、再生可能エネルギーによる発電施設を所有し、その総発電容量は41,000メガワットを誇ります。また、約500万世帯の小売顧客に電力を提供しており、米国最大規模の住宅用電力供給業者でもあります。
2025年初め、ビストラはエナジー・ハーバーを買収しました。この買収により、ポートフォリオに4つの原子力発電施設が加わり、同社は米国第2位の原子力発電事業者となりました。データセンターの電力需要が増大する中、原子力発電の重要性は高まるとされています。
ビストラの戦略:増加する電力需要に対応
ビストラの投資戦略は、産業の国内回帰、パーミアン盆地の電化、人工知能データセンターに伴う電力需要の増加に焦点を当てています。同社は、需要がそれぞれ年率で1.8%と5%増加すると予想されるPJM(米国東部)およびERCOT(テキサス州)市場に注力しています。この需要増加は、過去10年間と比較して倍増が見込まれており、ビストラの成長機会となっています。
特にデータセンターにおける電力需要の急増が、ビストラの戦略における大きな要素です。一部の業界アナリストは、これらの施設が求める安定的な電力供給を実現するためには、原子力発電が有効な選択肢になると考えています。
ビストラの株主還元策
ビストラは自社株買い戻しを積極的に実施し、株主への価値還元に努めています。2021年第4四半期以降、同社は発行済み株式の30%を1株あたり平均29ドル以下で買い戻しました。この価格は現在の株価185ドルと比較すると大幅な割引水準にあります。
さらに、ビストラは2026年末までに22億ドルを自社株買い戻しに費やす計画を立てています。このような株主還元策により、同社は長期的に投資家に利益を提供することを目指しています。
ビストラの業績予想と株価見通し
ウォール街の予測によると、ビストラの調整後売上は2026年度までに毎年23%増加すると見込まれています。一方で、調整後利益の34倍という現在の評価は、過去の平均と比較すると割高であると指摘されています。
多くのアナリストは短期的に株価が下落する可能性があると見ています。12カ月後の目標株価の中央値は165ドルで、これは1月24日現在の株価191ドルから約14%の下落を意味します。そのため、ビストラの投資を検討している場合、株価が下落したタイミングを狙う戦略が有効と考えられます。
今後の展望
ビストラは米国最大の発電事業者として、成長する電力需要に対応するポジションを築いています。特に、データセンターや産業界の電力需要増加が期待される中、同社の戦略は市場環境に適合しています。
短期的には株価の下落リスクが指摘されていますが、長期的には株主還元策や需要拡大に支えられた成長が期待されます。ビストラの株価動向に注目しながら、最適な投資タイミングを見極めることが重要です。