トランプ大統領が発表した新たな人工知能(AI)プロジェクト「スターゲート」が、半導体業界やネットワーク機器メーカーに大きな注目を集めています。このプロジェクトでは、最終的に20カ所のデータセンターで数十万個のエヌビディア(NVDA)のプロセッサが必要になると見込まれています。それに伴い、プロセッサ間の通信を支えるネットワーク機器への需要も急増しています。
AI関連の半導体銘柄はこのニュースを受けて株価が急騰しました。エヌビディアは4%の上昇を見せ、データネットワーク関連のブロードコム(AVGO)、マーベル・テクノロジー(MRVL)、アリスタネットワークス(ANET)は7%近く株価を押し上げました。
AIデータセンターにおける半導体とネットワーク機器の需要
AIデータセンターにおけるハードウェア支出の多くは、エヌビディアのような企業が提供する高性能プロセッサに向けられます。しかし、プロセッサを連携させるためのネットワーク機器の需要も急増しており、スターゲートのようなプロジェクトでは半導体費用全体の約20%がネットワークチップに費やされている可能性があります。
エヌビディアは、AIデータセンター向けのネットワーク機器販売でも重要な地位を占めており、2025年にはイーサネットスイッチング機器だけで数十億ドル規模の売上を見込んでいます。
ネットワークベンダーの市場拡大
ネットワーク機器メーカーもAIコンピューティング需要の増加から恩恵を受けると予測されています。アリスタネットワークスは、プロジェクト「スターゲート」を支えるオラクル(ORCL)にイーサネットスイッチを供給しており、この分野での主要なサプライヤーとなっています。また、ブロードコムもアリスタのスイッチを含む多くのネットワーク機器で使用されるチップを提供しており、成長が期待されています。
さらに、プロセッサとスイッチを接続するトランシーバーデバイスにはブロードコムやマーベル・テクノロジー製の部品が使用されています。これらのデバイスは光ファイバーケーブルで接続されるケースが多いため、光ファイバーメーカーのコーニング(GLW)、通信システムメーカーのシエナ・ネットワークス(CIEN)、レーザー装置メーカーのコヒレント・テクノロジー(COHR)、ルメンタム・ホールディングス(LITE)、ファブリネット(FN)も市場の恩恵を受ける可能性があります。
高まる評価と今後の成長への期待
AI関連の熱狂により、ネットワーク株はここ数年で最高の評価額を記録しています。アリスタネットワークスの株価は2025年1月23日時点で129ドルとなり、2024年または2025年の1株当たり利益予測の50倍以上の価格になっています。モルガン・スタンレーのアナリストは、今年のアリスタの成長が市場の期待に応えるかどうかが議論されていると指摘しました。
アリスタの売上は2025年に約84億ドルに達すると予測されており、20%増加する見通しです。これにはAIデータセンターによる10億ドル規模の需要が含まれています。一部の投資家は、売上成長率が25%〜30%に達する可能性を見込んでいますが、この目標は非常に高いとされています。
AIデータセンターがもたらす長期的な影響
AIデータセンターの拡張は、ネットワーク機器市場の長期的な需要を押し上げることが期待されています。ネットワーク関連の企業は引き続きAIプロジェクトへの関与を深め、市場拡大の恩恵を享受する可能性があります。