今週のバロンズニュースレターTECHでは、米国におけるAIインフラ構築が本格化する可能性について非常に興味深い記事が配信されました。2025年を見据えたAIインフラの大規模な展開が、経済やテクノロジーの新たなステージを予感させます。
特に注目すべきは、トランプ大統領が主導する「スターゲート」プロジェクトの発表です。このプロジェクトは、オープンAI、オラクル、ソフトバンク、そしてUAEのAI投資会社であるMGXが中心となり、今後4年間で5,000億ドルをAIインフラ構築に投資する計画を掲げています。
プロジェクトの概要:5,000億ドル規模の投資
「スターゲート」プロジェクトでは、初年度に1,000億ドルを即座に投資することが予定されています。オープンAIのブログ記事によれば、この資金は「米国のAIリーダーシップを確固たるものにする」ためのインフラ構築に使用されます。
特筆すべきは、電力供給に関するトランプ大統領の発言です。「緊急宣言を活用して、AI施設における自家発電を可能にする」とのコメントは、AIデータセンターがエネルギーのボトルネックを解消する一助となる可能性を示唆しています。これにより、AIインフラの構築スピードが加速し、エヌビディア製GPUを搭載したAIサーバークラスターの規模拡大が期待されます。
株式市場への影響:エヌビディアとオラクルが注目の的
ウォール街では、この発表を受けてエヌビディア(NVDA)とオラクル(ORCL)が主要な受益企業として注目を集めています。
- エヌビディア
UBSアナリストのティモシー・アークリ氏は、「データセンター支出の40%がAIサーバーラックに向かう可能性がある」と指摘し、最大2,000億ドルがエヌビディアに流れると見込んでいます。 - オラクル
バーンスタインのアナリストであるマーク・モードラー氏は、「スターゲートプロジェクトはオラクルのAIトレーニングベンダーとしての地位をさらに高める」と述べています。
また、TSMC(台湾積体電路製造)のCEOである魏哲家氏も、「AI関連チップの売上は2025年に2倍になる」との見通しを明らかにしました。
競争と課題:イーロン・マスクの懐疑的見解
「スターゲート」プロジェクトは注目を集める一方で、イーロン・マスクが率いるxAIなどの競合企業からは懐疑的な声も上がっています。しかし、オープンAIのサム・アルトマン氏やアームのCEOであるレネ・ハース氏は、財政的な支援が十分であると自信を示しています。
仮に5,000億ドル規模の目標を達成できなくとも、数百億ドル単位のAI関連支出が追加されることは確実です。この動きは、AIインフラ市場全体を底上げする重要な要因となると予想されます。
2025年のAI市場を見据えて
アンソロピックのCEOであるダリオ・アモデイ氏が述べたように、AI需要の急増は供給能力を上回っている状況です。このような背景から、エヌビディア、オラクル、そしてデータセンター機器を手掛けるバーティブ(VRT)が2025年に向けて大きな成長を遂げると予測されています。
まとめ:AI時代の基盤構築が加速する中での投資機会
「スターゲート」プロジェクトを中心としたAIインフラ構築は、技術的にも経済的にも新たなフロンティアを切り開く可能性を秘めています。AIとエネルギーが交差するこの転換期に、エヌビディアやオラクルといった関連銘柄への注目がさらに高まることは間違いありません。
AIの未来を形作るこれらの動きに、引き続き目を向けていきたいところです。