過去2年間好調を誇ってきたAIセクターですが、それだけを理由に投資家が避けるべき分野ではありません。この分野には依然として大きな成長の可能性が秘められており、その中でもエヌビディア(NVDA)は特に注目すべき企業です。
エヌビディアは、大手ハイテク企業のAI投資から直接的な収益を得ている点で、他のAI関連銘柄と一線を画しています。ローゼンブラット証券のアナリスト、ハンス・モーゼスマン氏は、エヌビディアの目標株価をストリートハイの220ドルに設定しており、1月17日の終値137.71ドルから見ると、今後1年間で約60%の上昇が期待されるとしています。
エヌビディアのGPUは業界最高レベル
エヌビディアが他のAI関連銘柄と異なる重要な理由の一つは、AI関連の売上をすでに着実に伸ばしている点です。AIハイパースケーラーが巨額の資金を投じてAIモデルの訓練を行う中で、エヌビディアはその資金の一部を自社の売上に転換しています。
同社のグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)とそのソフトウェアパッケージは、AIモデルの訓練を行う企業にとって最良の選択肢となっています。GPUは並列計算が可能で、複数の計算を同時に処理できる特性を持っています。さらに、GPUをクラスター化することで、この効果はさらに強化されます。大手AI企業の中には何千ものGPUを搭載したサーバーを構築している企業もあり、AIモデルの学習速度が大幅に向上しています。
さらに、エヌビディアの次世代Blackwell GPUアーキテクチャーは、従来のHopperアーキテクチャーと比較して4倍の速度でAIモデルを訓練する能力を持っており、最高性能を求める顧客にとって大きなアップグレードとなっています。
GPUの需要を支える短い寿命とAI需要の拡大
データセンターにおけるGPUの寿命が短いこともエヌビディアにとって追い風です。GPUはほぼ常時使用されるため、1~3年程度で交換が必要になると言われています。これに加えて、AIの需要が引き続き拡大している現状を考えると、エヌビディアの成長余地が大きいことは明らかです。
エヌビディアが直面する課題
エヌビディアが成長を続ける中で直面する可能性がある課題として、AI推論におけるCPU利用の促進やカスタムAIアクセラレータの開発競争があります。GPUは高性能である一方、消費電力が多く、AI推論のような単純なタスクには効率が劣る場合があります。
さらに、大手クライアントの中には自社でカスタムAIトレーニングアクセラレータを開発し、エヌビディアをバイパスしようとする動きも見られます。しかし、これらのカスタムアクセラレータは特定の目的に最適化されており、汎用的なAIモデルの開発や多様なトレーニング方法には向いていない場合もあります。このため、これらの課題がエヌビディアのビジネス全体に与える影響は限定的と考えられます。
エヌビディアの株価は成長に見合った評価
エヌビディアの株価が2025年に60%も上昇する可能性がある理由は、期待通りの業績を達成し、来年の見通しが堅実であるためです。同社は現在、過去12ヶ月間の利益の52倍で取引されており、この水準は過去2年間で最も安い水準に近いものです。
たとえば、アップル(AAPL)やアマゾン(AMZN)のような他のハイテク企業は、それぞれ38倍や47倍で取引されていますが、エヌビディアの売上成長率は両社よりもはるかに高い水準にあります。同社は2026会計年度(2026年1月期)に売上を52%成長させる見込みであり、この成長率を維持することで株価のさらなる上昇が期待されています。
今後の展望
エヌビディアは2026年以降も引き続き好調な業績を示す必要がありますが、これまでの実績を考えると、その可能性は十分にあります。AIセクター全体の成長を背景に、エヌビディアの優れた技術と市場での優位性が引き続き投資家の関心を集めると予想されます。エヌビディアはまだ成長の余地を多く残しており、今後も目が離せない企業です。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA