セールスフォース(CRM)は、AIエージェントの台頭により、手頃な投資機会を提供する企業として注目されています。TDカウエンのアナリストであるデリック・ウッド氏、アンドリュー・シャーマン氏らは、同社の評価を「ホールド」から「買い」に引き上げました。
1月16日付けのレポートでは、セールスフォースの目標株価を以前の380ドルから400ドルに上方修正しています。同社の株価は17日の米国市場の正午過ぎの時点で2.5%上昇し、328ドルとなりました。
セールスフォースがエージェンティックAIでリード
セールスフォースは昨年、他のソフトウェア企業と同様に「AIエージェント」を発表しました。この「エージェンティックAI」は、顧客対応、プロトタイプのテスト、コードの脆弱性修正など、ビジネス上の意思決定を支援するシステムを指します。
同じ分野では、ギットハブやマイクロソフト(MSFT)、ワークデイ(WDAY)なども独自のAIエージェントに関する取り組みを進めています。セールスフォースはこうした競争の中でも、エージェンティックAIへのエクスポージャーを持ちながら、適正な評価を維持していることが特長です。
魅力的な投資機会が広がる
TDカウエンによると、セールスフォースの企業価値は、予想フリーキャッシュフローの約24倍で評価されています。これは過去5年間の平均である約33倍を大幅に下回り、同業他社の平均である24.5倍と比較しても魅力的な水準です。
アナリストたちは、「売上の加速成長と利益率の拡大が期待される中で、現在の評価は控えめである」と述べ、セールスフォース株が投資家にとって魅力的な選択肢になる可能性を示しています。
グッゲンハイムの評価と異なる視点
セールスフォースに対するポジティブな見解はTDカウエンだけではありません。グッゲンハイムのアナリスト、ジョン・ディフッチ氏も、セールスフォースの評価を「中立」から「買い」に引き上げています。ただし、ディフッチ氏は、セールスフォースがAIエージェントから大きな利益を得るには、過去10年間で成功を収めたような企業買収を再び行う必要があるとも指摘しています。
同氏は、セールスフォースの目標株価を247ドルと設定しており、現在の株価水準からは25%の下落を見込んでいます。このように、アナリストによる評価には若干の違いが見られますが、AI分野での競争力が注目されている点では一致しています。
セールスフォースの今後に注目
2025年において、AIを活用したビジネス展開が一段と進む中、セールスフォースの株価と戦略は引き続き投資家の注目を集めています。同社のAIエージェントの進化と、それによる売上成長が今後の焦点となります。投資家は、業界全体の動向と共に、セールスフォースの進展を注意深く見守ることが求められます。