TSMC(TSM)は、2024年第4四半期に予想を上回る業績を発表しました。人工知能(AI)需要の拡大が、スマートフォン販売が例年低迷する時期の業績を相殺する結果となっています。同社は、エヌビディアをはじめとする顧客への対応で成果を挙げています。
第4四半期の業績概要
TSMCは、第4四半期の売上を57%増の3747億台湾ドル(113.7億ドル)、1株当たり利益を14.45台湾ドルと発表しました。アナリストの予想である1株当たり14.34台湾ドルを上回る結果となりました。また、2024年通年の売上は39%増の8685億台湾ドルに達しています。
株価は1月16日のプレマーケットで5%近く上昇しており、過去12カ月では83%の伸びを記録しています。
セグメント別の成長動向
TSMCのセグメント別売上の成長率は以下の通りです:
- 高性能コンピューティング:58%増
- スマートフォン用チップ:23%増
- モノのインターネット、自動車、デジタル家電:2~4%の小幅な上昇
このような成長の背景には、5GやAIといったメガトレンドが存在しています。
2025年第1四半期の業績見通し
同社は、2025年第1四半期の売上を250億ドル〜258億ドルと予測しています。これは、ファクトセットが予測していた246億ドルを上回る数値です。粗利益率については中間値で58%を見込んでおり、第4四半期の59%からはわずかに減少すると予想しています。この減少の要因として、2ナノメートルチップや特殊な製造技術に伴うコスト増、さらには熊本やアリゾナの新工場立ち上げによる影響が挙げられています。
資本支出とメガトレンドへの対応
TSMCは、2025年度の資本支出を380億ドル〜420億ドルと見込んでいます。同社のウェンデル・フアン最高財務責任者(CFO)は、「当社は2025年における業界の重要なトレンドである5G、AI、高性能コンピューティングに関連した需要を的確に捉えることに注力している」と述べました。
アリゾナ工場の利益率と対応策
アリゾナの新工場については、10%の利益率でスタートするとJPモルガンのアナリスト、ゴークル・ハリハラン氏が推定しています。TSMCのCC・ウェイCEOは、「利益率の改善に向けて取り組んでいる」と回答しました。同工場が今後、収益性の向上にどのように寄与していくのか注目が集まっています。
AI需要と輸出規制への対応
AI需要の高まりについて、ウェイ氏は「非常にタイトなキャパシティ」を指摘しつつ、顧客の要求に応えるために努力していると述べました。また、バイデン政権によるAIマイクロチップ輸出規制についても「対応可能」とし、顧客が特別な許可を取得できるようサポートしていると説明しています。
今後の展望
TSMCは、2025年以降も5GやAI、高性能コンピューティングといった分野での構造的な需要を追い風に成長を続けると期待されています。同社の戦略的な投資や技術革新が、長期的な競争力をさらに高めることになると予想されています。
*過去記事 TSMC