テスラ(TSLA)の株価が1月15日の米国市場で8%上昇し、終値は428.22ドルとなりました。この急騰の背景には、CEOであるイーロン・マスク氏と米国証券取引委員会(SEC)の新たな対立やウォール街の目標株価の変動、さらには最新のインフレデータが影響していると考えられます。
特にインフレデータの発表が、市場全体の上昇を後押しした要因として注目されています。同日のS&P 500は1.83%、ダウ平均株価は1.65%の上昇を記録しました。
インフレデータが市場全体を押し上げる
2025年1月の最新のインフレデータでは、食品とエネルギーを除くコア消費者物価指数が市場予測を下回る緩やかな上昇率を示しました。この結果を受けて、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が今後も金利を引き下げる可能性が高いと見込んでいます。金利引き下げは、消費者が新車を購入する際のローン金利を低下させる効果があり、電気自動車メーカーにとって追い風となる状況です。
このような環境の中で、リビアン(RIVN)の株価は4.5%、ゼネラルモーターズ(GM)は1.5%、フォード・モーター(F)の株価は1.7%上昇しましたが、これらを大きく上回る形でテスラが市場の注目を集めました。
イーロン・マスク氏とSECの対立
テスラの株価が上昇する一方で、投資家たちはイーロン・マスク氏とSECの新たな対立に関心を寄せています。SECは、マスク氏が2022年3月にツイッター(現:X)の発行済み株式の5%以上を取得した際に、法的に必要な報告を期限内に行わなかったと訴えています。この件についてマスク氏はコメントを控えているものの、軽蔑的なツイートを投稿したことが注目を集めました。
マスク氏とSECの対立は今回が初めてではありません。2018年には、マスク氏がテスラを1株420ドルで非公開化する計画をツイートし、SECが「誤解を招く発言」として提訴したことがありました。この訴訟は、マスク氏とテスラがそれぞれ2000万ドルを支払う形で和解しました。
アナリストがテスラ目標株価を引き上げる
バークレイズのアナリスト、ダン・レビー氏はテスラ株の目標株価を270ドルから325ドルに引き上げました。ただし、同氏は目標株価の引き上げにもかかわらず「ホールド」の格付けを維持しています。レビー氏によれば、株価は「ファンダメンタルズから切り離された」状態にあるとのことです。
2025年1月時点で、テスラ株の平均アナリスト目標株価は約317ドルで、昨年11月の時点から約82ドルの上昇を見せています。一方、株価自体はその期間に約177ドル上昇しており、依然としてアナリスト予測を大幅に上回る水準にあります。
テスラの未来に注目
インフレデータの影響やマスク氏とSECの対立など、さまざまな要因が重なり、テスラの株価は注目を集めています。特に、FRBの政策が自動車市場全体にどのような影響を与えるかが、今後も株価動向を左右する大きな要素となりそうです。
*過去記事はこちら テスラ TSLA