エヌビディア(NVDA)は、AI市場を牽引する企業としての地位をさらに強固にしています。先週のCES 2025では、エヌビディアのCEOであるジェンスン・フアン氏が基調講演を行い、特にAIエージェントの市場可能性について言及しました。その発言の中で注目されたのは、AIエージェント市場が「数十兆ドル規模」の成長可能性を秘めているという予測です。本記事では、エヌビディアがどのようにAIエージェントに関与しているのか、またその市場規模がどれほどの影響をもたらすかを解説します。
AIエージェントとは?
AIエージェントは「デジタル労働力」とも呼ばれる新しい技術です。これは、生成AIの進化によって可能となり、特に自律的に作業を進める能力が注目されています。従来のチャットボットが単純な応答や支援を行うのに対し、AIエージェントは自ら意思決定を行い、業務の主導権を握ることができます。このような技術は、エヌビディアの提供するAIソリューションによって支えられています。
エヌビディアのAIエージェント市場への取り組み
エヌビディアはAIエージェント市場において重要な役割を果たしています。同社の「Nvidia AI Enterprise」プラットフォームは、AIエージェントの構築に使用される主要なオペレーティング基盤です。このプラットフォームを活用している企業として、ケイデンス(CDNS)、クラウデラ、コヒシティ、ネットアップ(NTAP)、セールスフォース(CRM)、SAP(SAP)、サービスナウ(NOW)などがあります。また、アクセンチュア(ACN)やデロイトといったコンサルティング業界のリーダーも、エヌビディアの技術を用いてAIエージェントを企業に導入しています。
この技術を活用することで、企業はAIエージェントを自社のツール群に統合し、業務の効率化を図るとともに、クラウド経由で顧客に提供するサービスを強化しています。
AIエージェント市場の急速な成長
エヌビディアのCFOであるコレット・クレス氏は、同社のAIエージェント関連売上が前年比で2倍以上の成長を遂げると見込んでいます。市場の急速な成長は、企業が競争に遅れを取らないようAIエージェントの導入を急いでいることが一因です。
ジェンスン・フアン氏は、特にソフトウェアエンジニアやマーケティング担当者などがAIエージェントを積極的に採用すると予想しています。また、全世界に約10億人いる知識労働者が最終的にAIエージェントを活用すると述べており、この市場の可能性を強調しています。
「数十兆ドル規模の市場」の意味
フアン氏は具体的な数値については触れませんでしたが、「数十兆ドル」は少なくとも3兆ドル以上の市場規模を指していると考えられます。参考として、世界の自動車市場の規模が2023年時点で3.4兆ドルと推定されており、エヌビディアが推定される3兆ドル市場のわずか5%を占めるだけでも、1500億ドルの売上となります。
エヌビディアはすでにAI市場で優位性を持っており、これらの新規売上が同社の成長をさらに加速させると期待されています。2025年度の第3四半期時点で同社の売上は351億ドルに達しており、年間では1291億ドルに到達するとウォール街で予測されています。
エヌビディアとAIエージェント市場の未来
AIエージェント市場は、エヌビディアの売上成長を支える新たな柱となる可能性を秘めています。同市場が急速に拡大する中で、エヌビディアの技術力と市場シェアがどのように進化するのか注目されます。これにより、長期的な株価上昇が期待されるだけでなく、世界的なAI技術の進化にも大きな影響を与えると予想されます。
エヌビディアの今後の動向に注目しつつ、AIエージェント市場の成長が投資家にとってどのような機会を提供するか、見守る価値があります。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA