アップスタート・ホールディングス(UPST)は、2020年12月にIPOを行い、最初は1株20ドルで株式を公開しました。その後、2021年10月には390ドルまで急騰したものの、2022年12月には12.40ドルまで大幅に下落しました。最近では金利が低下し、事業が回復したことで株価は59ドルで推移していますが、ウォール街の目標株価である100ドルを依然下回っています。
アナリストは、金利低下や新商品の発売による成長が期待できると評価しており、投資家がこのタイミングで購入を検討すべきか注目されています。この記事では、過去5年間の同社の動向や、今後の成長見通しについて詳しく解説します。
過去5年間のアップスタートの成長と課題
アップスタートは、AIを活用したオンライン融資プラットフォームを提供し、銀行や信用組合、自動車ディーラー向けに融資の承認プロセスを効率化しています。FICOスコアや信用履歴だけでなく、職歴や学歴などの非伝統的なデータを活用することで、幅広い顧客層に融資を提供する仕組みです。
以下は主要な業績指標の推移です。*データソース:アップスタート
指標 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年9月(前年比) |
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ローン組成の成長 | 40% | 338% | (5%) | (59%) | 12% |
転換率 | 15% | 24% | 14% | 10% | 15% |
貢献利益率 | 46% | 50% | 49% | 63% | 60% |
売上成長率 | 42% | 264% | (1%) | (39%) | 12% |
調整後EBITDA利益率 | 13% | 27% | 4% | (3%) | (7%) |
2021年には金利の低さから融資需要が急増し、売上や利益率が大幅に拡大しました。しかし、2022年から2023年にかけて金利の上昇が融資需要を抑制し、売上や調整後EBITDAは減少しました。一方、融資の自動化やコスト削減により、貢献利益率は上昇を維持しました。
2024年初頭には金利低下により転換率が再び上昇し、ローン組成の成長も回復傾向を見せています。同社は第3四半期に調整後EBITDAの黒字化を達成しており、第4四半期も成長が見込まれています。
今後の見通しと成長予測
2025年には、アップスタートの売上は前年比17%増の5億9900万ドルに達すると予想されています。さらに、2024年から2026年にかけては売上が年平均成長率29%で成長し、2026年には9億9500万ドルに達する見込みです。同時に、調整後EBITDAは2025年に6300万ドルで黒字転換し、2026年には1億9600万ドルに増加すると予測されています。
アップスタートは、2024年第3四半期時点で負債資本比率2.2と高い水準にありましたが、転換社債の半分を2029年償還の新規発行債で借り換えるなど、財務基盤を強化しています。これにより、金利低下までの事業運営に余裕が生まれています。
現在の評価と投資タイミング
アップスタートの時価総額は58億ドルで、2025年の売上予測の7倍という評価額です。一方、株価が100ドルまで上昇すると時価総額は98億ドルに達し、2025年の売上の12倍となります。割高感はありますが、今後の成長性を考慮すると正当化される可能性があります。
金利低下が続き、融資需要が拡大することが予測されるため、アップスタートには長期的な成長余地があると考えられます。株価が100ドル未満である現在は、投資を開始する良いタイミングといえるかもしれません。ただし、市場の変動要因を十分に考慮し、慎重な投資判断を行うことが求められます。
まとめ
アップスタートは過去数年、金利動向に大きく影響を受けながらも、AIを活用した革新的な融資プラットフォームを強みに成長を続けてきました。短期的には市場の変動を受けやすいものの、長期的な成長見通しを重視する投資家にとって魅力的な選択肢であると言えます。
*過去記事はこちら アップスタート UPST