エヌビディアの次なる成長エンジンはクラウドゲーム?AIに続く新たな市場とは

人工知能(AI)はここ数年間、エヌビディア(NVDA)の株価上昇を支える大きな原動力となっています。大手クラウドサービスプロバイダーや政府機関は、AIサービスの開始に向けて同社のチップを導入しており、エヌビディアの売上の約88%がこの分野から生み出されています。一方で、かつてエヌビディアの主要な収益源であったゲーム事業は、現在では総売上のわずか9%強にとどまっています。

このため、アナリストや投資家の間ではデータセンター事業がエヌビディアの主要な成長要因として注目されていますが、エヌビディアにはこれ以外にも長期的な成長を見込める分野があります。その1つがクラウドゲームです。この記事では、エヌビディアがこの分野でどのような戦略を進めているのか、その詳細を見ていきます。

エヌビディア、クラウドゲーム市場への本格進出

2025年に開催されたCESトレードショーにおいて、エヌビディアはクラウドゲームプラットフォーム「GeForce Now」のサービス対象をさらに拡大する計画を発表しました。同社は、「GeForce Now」を使用すれば、あらゆるデバイスが高性能なゲームPCとして機能するようになるとしています。このサービスは、携帯ゲーム機「Steam Deck」や、アップル、メタ・プラットフォームズ、バイトダンスの仮想現実・複合現実ヘッドセットからも利用可能となります。

さらに、2025年前半にはインドで「GeForce RTXデータセンター」を立ち上げる計画を進めています。昨年には日本、コロンビア、チリで同様のデータセンターを開設しており、クラウドゲームの提供地域を世界的に拡大しています。このように、同社のクラウドゲームサービスは、利用可能なデバイスの増加と地域的な展開により、さらなる普及が期待されています。

クラウドゲーム市場の急成長がエヌビディアに追い風

クラウドゲーム市場の成長もエヌビディアの戦略を後押ししています。財務アドバイザリー企業のアリックス・パートナーズによれば、消費者はゲーム機やPCへの投資よりも、クラウドゲームへの支出を優先する傾向が強まると予測されています。クラウドゲームは、リモートサーバー上でゲームが実行されるため、グラフィックカードやゲーム機などの高価なハードウェアを必要としません。この手軽さが普及を加速させる要因の一つとされています。

また、クラウドゲーム市場の売上は、2025年に前年比58%増の111億ドルに達すると予測されています。さらに、2030年までに年間売上が640億ドルに達し、その後も成長を続けるとされています。このような成長予測に基づき、エヌビディアのクラウドゲーム分野への注力は、戦略的に大きな意義を持っています。

GeForce Nowが提供する競争力のある価格設定と利便性

エヌビディアは現在、「GeForce Now」からの売上や登録ユーザー数の詳細を公開していませんが、同サービスは急速に成長しています。2022年8月時点で登録ユーザー数が2,000万人を超えたとされ、2020年2月の100万人から大幅に拡大しています。また、同サービスは2,100以上のゲームタイトルにアクセス可能で、これがユーザーにとって大きな魅力となっています。

「GeForce Now」は、無料プランを提供しているほか、有料プランではさらなる特典を提供しています。月額9.99ドルのプランでは6時間のゲームセッションと短い待ち時間、月額19.99ドルのプランでは4Kゲーム、毎秒フレーム数の向上、8時間の長時間セッションを利用できます。これにより、AAAゲームタイトルの購入や専用ハードウェアへの投資に比べて、コストパフォーマンスの高い選択肢を提供しています。

長期的な成長が期待されるクラウドゲーム市場

エヌビディアは既にクラウドゲーム市場で競争力を持ちつつあり、この分野での存在感をさらに強化する可能性があります。クラウドゲーム市場は、ゲーマーにとって低コストで高品質のゲーム体験を提供する点で魅力的であり、エヌビディアの「GeForce Now」はその需要に応えるサービスとなっています。長期的には、エヌビディアがこの市場の大部分を占める企業となる可能性があります。

エヌビディアの成長戦略は、AIとデータセンター事業を中核としつつ、クラウドゲーム市場のような新たな分野にも積極的に進出する姿勢を見せています。長期的な成長が見込めるこの市場がエヌビディアの新たな成長エンジンになりそうなことは、投資家にとって非常に魅力的です。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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