企業が買収資金を調達するために株式を発行すると、一般的にその企業の株価は下落する傾向があります。しかし、コンステレーション・エナジー(CEG)の株価は例外でした。カルパイン買収のニュースを受け、同社の株価は25%も上昇しました。この出来事は、今回の取引の質の高さを示しており、投資家から大きな期待を集めています。
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株価25%上昇の背景:291億ドルの大型買収
コンステレーション・エナジーは、米国内最大の原子力発電所所有企業であり、非公開所有の天然ガス発電所と地熱発電所を運営するカルパインを買収することで、その規模をさらに拡大することになります。買収額は負債を含め291億ドル。買収資金は新株発行と45億ドルの現金で賄われます。
通常、新株発行による株式の希薄化は既存株主にとってマイナス要因となることが多いですが、今回の買収は違いました。コンステレーションは、合併後に国内最大の独立系発電事業者となり、AIデータセンターや電気自動車市場の成長に対応する電力供給を担う、非常に重要な企業となる見込みです。これにより、投資家は同社の将来性に大きな期待を寄せています。
カルパインとの合併による電力供給の強化
両社は独立系発電事業者であり、発電所を所有し、公益事業者や企業に市場価格で電力を販売しています。規制の厳しい公益事業者とは異なり、両社は市場の需給バランスに応じて利益を拡大することが可能です。
コンステレーションは、米国企業の中で最も多い21基の原子炉を所有しています。原子力発電は、二酸化炭素を排出せず、再生可能エネルギーのような不安定な供給とは異なり、24時間365日稼働できるため、価値が高まっています。一方、カルパインは、テキサス州やカリフォルニア州を中心に50以上の天然ガス発電所を保有しており、地理的範囲と電力源の多様性が強化される形となります。
成長市場を見据えた戦略的買収
エネルギー需要が増加する中、特にデータセンターの成長は顕著です。政府支援の調査によると、データセンターが消費する電力は2023年の4.4%から2028年には12%に増加すると予想されています。これに対応するため、安定した電力供給を可能にするコンステレーションの存在感はさらに高まる見込みです。
さらに、今回の買収価格は非常に魅力的と評価されています。買収対象のカルパインは、金利・税金・減価償却前利益(EBITDA)の約9倍で評価されており、ライバルであるビストラ(VST)が10倍であることを考えると、割安であることが分かります。
今後の展望と投資戦略
コンステレーションの株価は、過去1年間で170%上昇しており、投資家の期待を反映しています。ただし、現在の評価額はEBITDAの約20倍に達しており、やや高値圏にあることも事実です。
一方で、競合のビストラはやや低い評価額で取引されており、天然ガスと原子力資産を保有しているため、同様の成長トレンドから利益を享受する可能性があります。この低いバリュエーションを考慮すると、ビストラも選択肢として魅力的です。
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エネルギー業界への投資のタイミング
電力需要が拡大し、エネルギー業界の新時代が到来する中、投資家にとっては参入を考える絶好の機会かもしれません。コンステレーションとカルパインの統合によるシナジー効果は大きく、米国エネルギー分野でのリーダーシップを確立する可能性があります。