エヌビディア(NVDA)の最高経営責任者であるジェンスン・フアン氏は、人工知能(AI)コンピューティングの最前線に立ち続けるため、多数の新製品を発表しました。1月6日、ラスベガスで開催されたCESトレードショーで、フアン氏はAIと関連するテクノロジーが未来をどのように変革するかについてのビジョンを共有しました。
同社の発表内容には、10億体のヒューマノイドロボット、1,000万の自動化工場、そして15億台の自動運転車やトラックを実現するための製品とサービスが含まれています。
エヌビディア製品に対する関心の高まりと株価の影響
フアン氏は、トヨタ自動車株式会社や台湾のMediaTekとの提携を含むエヌビディアの最新戦略を90分以上にわたり説明しました。このプレゼンテーションにより、両社の株価は3%以上上昇しました。
ゲーマー向け新製品「GeForce 50シリーズ」を発表
また同氏は、従来の顧客層であるゲーマー向けに、新しい「GeForce 50シリーズ」のグラフィックプロセッシングユニット(GPU)を発表しました。この新シリーズは、同社のAIアクセラレータで採用されている「ブラックウェル」設計をベースに開発されており、ゲーム体験をさらに進化させます。
フラッグシップモデル「RTX 5090」は今月末に1,999ドルで発売予定です。性能が抑えられた「RTX 5070」は549ドルで2月にデビューし、前シリーズのトップモデルである「RTX 4090」を超える性能を提供します。
エヌビディアの新しいGPUは、従来のピクセル単位の画像構築に加え、AIを活用して次のフレームを予測することで、よりリアルなゲーム体験を可能にします。これにより、ゲーマーへの訴求力がさらに強まることが期待されています。
データセンター事業の成長と売上の多様化
エヌビディアにとって、かつて最大の売上源であったゲーム事業は、今では同社のデータセンター事業に規模で劣るようになっています。同社のAIアクセラレータチップは、多くのテクノロジー企業に支持されており、2025年には1000億ドル以上の売上を見込んでいます。
さらに、同社はハードウェアとソフトウェアの普及を拡大し、より多くの企業や政府機関との連携を進めることで、売上の多様化を目指しています。
自動運転技術とトヨタとの提携
またこの日、世界最大の自動車メーカーであるトヨタが、エヌビディアの自動運転AI製品を採用する計画も発表しました。同社の「Drive」チップとソフトウェアを活用することで、自動車のAI化を進めています。
また、エヌビディアはウーバー・テクノロジーズ(UBER)と提携し、自動運転技術の開発を加速させています。ウーバーが提供する膨大な輸送データは、AIモデルのトレーニングに役立つと見られています。
Cosmos技術による仮想トレーニングの実現
エヌビディアは「Nvidia Cosmos」という新しい技術を開発し、ロボットの知能化や完全自律型車両の開発を支援しています。この技術では、AIがテキスト入力などをもとに動画を生成し、仮想トレーニングに活用することで、現実世界での高額な実験を削減することが可能になります。
生成された動画は、頻度の低いシナリオのテストを繰り返すのに適しており、例えば緊急車両との遭遇時の対応を効率的にシミュレーションできます。
開発者向けの新デスクトップPC「Project Digits」
さらに、フアン氏は「Project Digits」と呼ばれる新しいデスクトップPCを発表しました。この小型デバイスは、エヌビディアが開発した「Grace Blackwell Superchip」を搭載し、3,000ドルで提供されます。大容量メモリと高速接続機能を備えたこのPCは、非常に大規模なAIモデルをローカルで実行するために設計されています。
このデバイスは、クラウド接続が困難な環境でもAI開発を可能にし、特にLinuxオペレーティングシステムを使用するAI開発者にとって有用なツールとなります。
エヌビディアの未来とAI産業の進化
エヌビディアはAIを物理的世界へ拡張することで、50兆ドル規模の産業を変革する可能性を示しています。しかし、この進化には、現実世界の複雑な問題を安全に処理できるソフトウェアが必要です。同社の動向は、これからもAI産業全体に大きな影響を与え続けることが期待されます。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA