チップメーカーであるマーベル・テクノロジー(MRVL)の株価は2024年12月に19.2%の上昇を記録しました。1年間での上昇率は83%に達しており、投資家の注目を集めています。同社は第3四半期の決算を発表し、さらには技術革新や主要なパートナーシップを発表するなど、12月は多忙な月となりました。
マーベルの好調な業績と増配
マーベルの2024年第3四半期の売上は前年比7%増の15億2000万ドルに達し、調整後(非GAAP基準)の1株当たり利益は前年比5%増の0.43ドルを記録しました。これらの数値はアナリストの予想を上回り、同社の基礎的な成長力を示しています。
また、マーベルは12月に増配を決定しました。安定した売上成長と株主還元の姿勢が、投資家にとっての魅力をさらに高めています。
データセンターセグメントの成長が鍵
マーベルはデータセンター、企業ネットワーク、通信事業者向けの通信機器、コンシューマーエレクトロニクス、自動車・産業向けアプリケーション用チップを製造しています。これらの市場は現在下降局面にありますが、データセンターセグメントは例外であり、前年比98%増と驚異的な成長を遂げています。
この成長の背景には、クラウド大手企業と共同設計したAIチップや、データセンターネットワークチップの充実したポートフォリオが存在します。2024年第3四半期には、データセンターセグメントが全売上の73%を占めるに至りました。これは前年の39%から大きく成長した結果です。
今後の成長見通しと主要パートナーシップ
マーベルの経営陣は、今後の成長がさらに加速すると予想しており、2024年第4四半期の売上が前期比19%増、前年同期比では99%増となる18億ドルに達すると見込んでいます。
また、同社は12月初旬に、主要顧客であるアマゾン(AMZN)との5年契約を発表しました。この契約では、クラウドAI用カスタムASIC(特定用途向け集積回路)やデジタル・光ネットワークチップを含むAIデータセンターインフラストラクチャにおいて、さらに深い協力を進めていくとしています。
技術革新により市場での地位を強化
マーベルは、革新的な技術を次々と発表しています。新しいメモリインターフェースにより、広帯域メモリを処理するASICの速度と効率を大幅に向上させる技術を導入しました。さらに、業界初となる1.6テラバイト/秒のPAM4デジタル信号プロセッサを開発し、超高速AI通信の実現に寄与しています。
投資対象としてのマーベル
現在、マーベルの株価は来年の利益予想の43倍の水準で取引されており、割安とは言い難い状況です。同社の将来的なパフォーマンスは、AI市場の拡大がどれだけ続くかに左右されると考えられます。
AI市場が継続的に拡大すれば、マーベルの株価にはさらなる成長余地があります。一方で、急成長の後に調整期間が訪れる可能性もあり、その場合は株価が割高と判断されるリスクも考えられます。
マーベル・テクノロジーは、AI市場やデータセンター分野での成長を武器に、引き続き注目すべき企業です。投資判断においては、AIの成長ペースや同社の市場シェア拡大動向を慎重に見極める必要があります。
*過去記事はこちら マーベル・テクノロジー MRVL