マイクロソフト(MSFT)は、2025年6月までにデータセンター拡張に約800億ドルを投資する計画を発表しました。同社のブラッド・スミス社長は1月3日付けのブログ投稿で、人工知能(AI)の進展が「AIの革新と利用を支える大規模なインフラ投資」によるものであると強調しました。この投資の半分以上がアメリカ国内で行われる見通しです。
スミス社長はまた、アメリカの公共政策に関して、AI関連の規制が過度に厳しくならないよう呼びかけています。「米国の民間部門が引き続き成長できる環境を整えることが最優先事項だ」と述べています。
クラウドインフラプロバイダー間で激化する競争
マイクロソフトやアマゾン・ドット・コム(AMZN)といったクラウドインフラプロバイダーは、データセンターの建設を通じてコンピューティング能力の拡大を競い合っています。2024年6月に終了した前年度、マイクロソフトは資本支出として500億ドル以上を投じましたが、その多くはAIサービス需要の高まりを受けたサーバーファームの建設に費やされました。
この大規模な投資の背景には、エヌビディア(NVDA)などが提供する高性能チップや、デル・テクノロジーズ(DELL)などのインフラプロバイダーが必要とされていることが挙げられます。AIを搭載したデータセンターの構築には高度な技術と設備が不可欠です。
原子力発電所の活用で電力供給を強化
AI対応の大規模なサーバーファームには膨大な電力が必要であり、マイクロソフトはペンシルベニア州スリーマイル島原子力発電所の原子炉を再稼働させる契約を結びました。この発電所は1979年の部分溶融事故で知られる施設ですが、AI時代の新たな電力需要に対応するための取り組みの一環として再び利用されます。
アマゾンやアルファベット(GOOGL)も同様に原子力発電に関する契約を進めており、AIにおけるエネルギー供給の確保が各社にとって重要な課題となっています。
AI産業を支える政策の必要性
スミス社長は、AI産業の成長を支えるためには現実的な輸出管理政策が必要であると主張しています。「米国は、信頼性の高いデータセンターにおけるAIコンポーネントの強固なセキュリティと、同盟国への安定的な供給を両立できる政策を策定する必要がある」と述べました。
アメリカが世界的なAI競争をリードするためには、政府と民間が協力し、AIのインフラ構築と規制のバランスを取ることが求められます。この取り組みが成功すれば、AIのさらなる進展と経済成長が期待されます。
まとめ
マイクロソフトをはじめとする大手企業は、AIの未来に向けて多額の投資を進めています。この動きは、AIが社会や経済に大きな影響を与える重要な技術であることを示しています。データセンターや電力供給の基盤を強化することで、企業はAI時代の需要に対応し、競争力を維持しようとしています。
今後も、AI技術の進展に伴う市場の変化と、各企業の動向に注目が集まります。
*過去記事 マイクロソフト MSFT