テクノロジー業界をリードする企業群は、これまで「FANG」や「FAANG」、最近では「マグニフィセント・セブン」などと呼ばれてきましたが、ここに来て、新たな呼び方、「BATMMAAN」という呼び方が生まれて、注目を集めています。
一見するとすごい文字の羅列という印象を受けますが、全部で8文字。最近時価総額が1兆ドルを超えたブロードコム(AVGO)を新たに加えた8銘柄の頭文字から成っています。
他の7銘柄はおなじみのアップル(AAPL)、テスラ(TSLA)、マイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)、エヌビディア(NVDA)。いずれも、時価総額が1兆ドルを超える巨大企業です。
2024年、BATMMAANの驚異的なパフォーマンス
これら8社の株価は、2024年にS&P 500指数のパフォーマンス(23%)を大きく上回る平均66%の上昇を記録しました。対照的に、BATMMAAN銘柄を除いた場合、S&P 500指数の上昇率はわずか12%にとどまりました。
BATMMAAN銘柄の評価とPEGレシオの活用
投資家にとって重要な問いの一つは、これらの銘柄のうちどれが過大評価されているのか、あるいは過小評価されているのかを見極めることです。ここで注目される指標が「PEGレシオ」です。これは、株価収益率(P/E)を予想売上成長率で割った値で、伝説的な投資家ピーター・リンチによって広められた手法です。
- PEGレシオが1を上回る場合、その銘柄は過大評価されている可能性がある。
- PEGレシオが1を下回る場合、その銘柄は過小評価されている可能性がある。
エヌビディアの割安性
2024年に株価が171%上昇したエヌビディアは、特筆すべき例です。同社のP/Eは2024年終値時点で31であり、2025年には売上が52%増加すると予測されています。この結果、PEGレシオは0.6となり、BATMMAAN企業の中で最も低い値を記録しています。エヌビディアは、このグループ内で唯一、PEGレシオが1を下回る銘柄です。
テスラ:評価が高止まりしている銘柄
テスラは2024年に63%株価が上昇しましたが、2025年の売上成長率は37%と予想されています。それにもかかわらず、2025年のP/Eは121で、PEGレシオは3.2と非常に高い値を示しています。テスラは長らく高い評価指標で取引されていますが、投資家心理や政策の影響も無視できません。
ブロードコムの堅実な成長
ブロードコムは2024年に108%株価が上昇し、エヌビディアに次ぐパフォーマンスを見せました。2025年の売上成長率は28%と予測され、P/Eは35、PEGレシオは1.3となっています。これはBATMMAAN企業内で2番目に低い値です。
他の主要銘柄の動向
- マイクロソフトは2024年の株価上昇率が12%と低調で、S&P 500のパフォーマンスを下回りました。2025年の売上成長率は13%と予想され、PEGレシオは2.3です。
- アルファベットとメタのPEGレシオはそれぞれ1.8と1.9。
- アップルとアマゾンはそれぞれ1.8と1.4のPEGレシオを示し、比較的割安感があります。
注意点と投資判断の視点
- 予測の不確実性
これらの分析は2025年のアナリスト予測に基づいていますが、予測が外れる可能性もあります。特に政治や経済の状況が変化する場合、その影響は大きいと考えられます。 - 心理的要因の影響
株価には投資家心理や無形の要素も大きく影響します。例えば、テスラの株価は、イーロン・マスク氏とトランプ次期大統領の関係が注目され、政策の影響を受けて変動しました。 - 評価指標の限界
高い評価指標がすぐに業績の悪化を意味するわけではありません。短期的には上昇が続く可能性もあり、バリュー投資家が機会を逃すケースもあります。
長期的視点での投資判断
BATMMAAN企業の評価指標や売上成長率を分析することで、投資の方向性を見定めることが可能です。ただし、市場環境や政策の影響など、評価指標以外の要因も十分考慮に入れる必要があります。最終的には、短期的な動向に惑わされず、長期的な視点を持って投資を行うことが鍵となります。