エヌビディア(NVDA)の株価は、2024年が終わりに近づく中で一時的な下落を見せているものの、同社が人工知能(AI)市場の中心的存在であり続ける中で、新たな成長の局面が訪れると期待されています。専門家や投資家の間では、同社の成長が次のステージへ進むとの見方が広がっています。
エヌビディアのAI市場における位置づけ
「エヌビディアは、まるでiPhone初期のアップルのように莫大な利益を上げています」とGerber Kawasaki Wealth and Investment Managementの社長であるロス・ガーバー氏はコメントしています。さらに、AIの可能性について「現時点ではほぼ無限」と述べ、同社のポテンシャルを高く評価しています。
エヌビディアは、過去10年間で高性能ゲームチップの分野で成功を収め、現在ではAIインフラの急速な拡大を背景に次の成長段階へと進んでいます。
成長を支える要因と課題
エヌビディアの成長を後押ししているのは、同社の先進的な半導体チップがAIインフラの中核を担っていることです。同時に、競合他社を寄せ付けないチップ市場での独占的な地位も重要なポイントです。
ガーバー氏は「エヌビディアの株価は高く見えるかもしれませんが、その利益成長と市場での独占的地位を考慮すれば、今後5年間において非常に有望だと考えています」と述べています。同氏自身も同社株を保有し続ける意向を示しており、投資家にとってエヌビディアは「アップルやマイクロソフトと同じくポートフォリオに組み入れるべき株式」と言及しています。
一方で、エヌビディアの株価は直近で横ばい傾向にあり、過去1か月では-0.8%とわずかに下がっています。市場全体の動きに影響される中で、エヌビディアの株価が試練に直面しているという指摘もあります。
新世代チップ「ブラックウェル」の導入に関する課題
エヌビディアは、次世代の高性能チップ「ブラックウェル」を3月に発表しました。この製品は、同社の歴史の中でも最も革新的な製品とされていますが、実際に市場へ届ける段階では課題が浮上しています。
「過去2四半期は、旧世代から新世代製品への移行に伴う成長痛が見られました」とバンク・オブ・アメリカの半導体アナリスト、ヴィヴェク・アーヤ氏は指摘しています。同氏は、実行上の問題が顧客に製品を提供するスピードを妨げているとしつつ、ブラックウェルが2025年に数十億ドル規模の売上を達成すると予測しています。
また、2025年1月に開催されるCESでは、創業者でCEOのジェンスン・フアン氏が基調講演を行う予定であり、これが短期的な株価上昇要因になる可能性も期待されています。
2025年以降のエヌビディアの成長見通し
エヌビディアの成長が続くという見通しは、ウォール街の分析でも裏付けられています。Yahoo Financeのデータによると、2025年の同社の売上は前年比で650億ドル増加すると予想され、1株当たり利益は2倍以上になるとのことです。
ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブ氏は「AIの基盤はエヌビディアが提供しており、この状況は変わらない」と述べ、同社の市場における独占的地位を強調しています。
個人投資家の支持と株価動向
エヌビディアは個人投資家からも高い支持を得ており、2024年には小売投資家から300億ドルの資金流入がありました。これは、SPDR S&P 500 ETFやテスラ(TSLA)を上回る規模です。一方で、一部の投資家が利益確定のために売却を選ぶ動きも見られています。
まとめ
エヌビディアは、AI市場の中心的存在として、引き続き注目される企業です。新世代チップの導入や市場動向に伴う課題はあるものの、2025年以降の成長が期待されています。同社の株式は、長期的なポートフォリオにおいて重要な位置を占める可能性が高いと予想されています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA