ネットフリックス(NFLX)は、スポーツライブストリーミング市場での競争において顕著な成果を上げており、月額料金の値上げの可能性が注目されています。UBSのアナリストチームは、同社の株式を「買い」と評価し、目標株価を1,040ドルと設定しています。12月30日の米国市場では現在の午後13時前の取引で0.05%上昇し、908.04ドルとなっています。
クリスマス当日のNFL試合と視聴者数
2024年のクリスマスにネットフリックスが配信したNFLの2試合は、米国内で約2,400万人の平均視聴者を獲得しました。これは、ABC、CBS(PARA)、Foxが前年のクリスマスに放送した試合の平均視聴者数2,800万人には及ばないものの、ネットフリックスの成長を示す重要なデータです。さらに、ネットフリックスは今シーズン、アマゾン・ドット・コム(AMZN)のプライムビデオによる木曜夜フットボールの視聴者数を上回り、そのパフォーマンスは昨年ピーコックが達成したワイルドカードプレーオフの試合と同等と評価されています。
アナリストは「視聴者数は地上波放送には及ばないものの、ネットフリックスは将来的にスポーツ放映権を獲得する準備が整っている」と述べています。この動きにより、広告提供を拡充しつつ、さらなる値上げの道筋を整備できる可能性が高いと見られています。
新規加入者増加の可能性と収益予測
UBSの分析によると、クリスマス当日のNFL試合は12月のネットフリックスの米国視聴者数を約3%押し上げ、テレビ全体の視聴シェアを約0.30ポイント増加させたと見られます。これに先立つ11月のタイソン・ポール戦では、ストリーミングデータ調査会社アンテナの推定で143万件の新規登録が試合から3日以内に発生しました。
また、シーポート・リサーチのデビッド・ジョイス氏によると、クリスマス当日の2試合で約100万人が新規加入した場合、これにより得られる新規加入者の生涯価値は5,700万ドルに達する可能性があります。これらの数字は、ネットフリックスがスポーツ放映権を通じて新たな収益機会を創出する潜在性を示しています。
料金値上げと今後の戦略
ネットフリックスの共同CEOであるテッド・サランドス氏は、UBSメディア・コミュニケーション会議で、ライブイベントを含む主要なコンテンツを通じて会員のエンゲージメントを高めることで、今後の料金値上げを計画していると述べました。同社は2022年初頭以降、米国における標準プランの料金を引き上げておらず、今後の値上げによる年間推定売上増加額は10億ドルに達する可能性があります。
さらに、広告なしプランの価格調整により、売上のみならずEBIT(支払利息・税金控除前利益)の増加も期待されています。この戦略は、スポーツコンテンツの充実や新規加入者の増加を通じて、全体的な事業価値を向上させる重要な一手となりそうです。
まとめ
ネットフリックスは、スポーツライブストリーミング市場への進出を通じて、新たな収益源の確保や加入者基盤の拡大を目指しています。NFL試合などのライブイベントの成功は、将来的な放映権取得や料金値上げの可能性を後押しするものであり、同社の成長戦略において重要な役割を果たすと予想されています。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX