ドナルド・トランプ次期米国大統領がH-1Bビザプログラムを支持する姿勢を公然と示したことは、外国人労働者の雇用を推進するアマゾン(AMZN)やアルファベット(GOOGL)などの企業にとって追い風となりそうです。この発言は、同氏がかつて「国内労働者の雇用を奪う」と批判していた姿勢と対照的であり、政治的な議論を巻き起こしました。
H-1Bビザプログラムの重要性を再評価
トランプ氏はニューヨーク・ポスト紙とのインタビューで、「H-1Bビザは素晴らしいプログラムだ」と述べ、自身を「H-1Bの信奉者」と表現しました。この発言は、2024年度に労働条件申請(LCA)の承認数が最も多いアマゾン(3,871件)、アルファベット(1,058件)などの企業にとって追い風となる可能性があります。
H-1Bビザの取得に必要なLCAは、非移民労働者を雇用するために米国労働省に提出する書類で、主に熟練した外国人労働者を対象としています。
アマゾンとアルファベットのH-1Bビザ活用状況
2024年度、アマゾンは外国人労働者のトップスポンサーとしての地位を維持し、H-1Bビザの新規申請承認件数が最多でした。アルファベットは、マイクロソフト(MSFT)の1,264件に次ぐ8位にランクインしています。
また、これらの企業に次いで、アップル、メタ・プラットフォームズ(META)、エヌビディア(NVDA)など、他のテクノロジー大手もH-1Bビザを活用して優秀な人材を雇用しています。
テスラのH-1B活用と急成長
テスラ(TSLA)はH-1Bビザ承認件数が急増している企業の一つです。2024年度には742件の新規申請が承認され、2023年度の328件、2022年度の337件と比べ、2倍以上の増加を見せました。この成長により、テスラは外国人労働者雇用のトップ25社にランクインしました。
同社のイーロン・マスク氏は、H-1Bビザの支持者として知られ、自身のSNSプラットフォームで「H-1Bビザのおかげで米国に多くの重要な人々がいる」と発言し、このプログラムの保護を訴えています。
テクノロジー企業とH-1Bビザの関係
H-1Bビザは、米国テクノロジー企業が世界中から優秀な人材を確保するための重要な手段です。過去のデータでは、アルファベットの従業員の約8%がH-1Bビザを利用していることが明らかになっています。
米国のH-1Bビザは、年間65,000件に制限されていますが、修士号以上の学位取得者にはさらに20,000件が発給されます。これにより、主にインド出身者(70%以上)を中心とした優秀な人材が雇用されています。
トランプ氏の支持が示唆する未来
トランプ氏がH-1Bビザプログラムに前向きな姿勢を示すことで、2024年以降、テクノロジー企業やその他のスポンサー企業が外国人労働者を雇用しやすくなる可能性があります。これにより、米国のテクノロジー分野が引き続き世界をリードするための基盤が強化されると見込まれます。
まとめ
トランプ氏のH-1Bビザ支持は、アマゾンやアルファベットをはじめとするテクノロジー大手にとって、熟練労働者を確保する上で有利な条件をもたらします。これらの企業にとって、移民政策の変更がグローバルな競争力に与える影響は大きく、今後の政策動向が注目されています。