2025年の超富裕層投資戦略:テクノロジー、プライベート市場、不動産の注目ポイント

2025年を迎えるにあたり、超富裕層の多くは投資市場への楽観的な見方を示しています。特に先進国市場の株式、プライベートエクイティ、不動産が注目されています。

超富裕層やファミリーオフィス(超富裕層家族が資産運用を行うための手段)は、引き続き米国のテクノロジー企業への投資を堅持しています。これは公開市場だけでなく、プライベート市場でも同様です。

注目される「マグニフィセント・セブン」

株価のバリュエーションは高い状態が続いています。特に「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要テクノロジー企業、アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アップル(AAPL)、メタ・プラットフォームズ(META)、エヌビディア(NVDA)、マイクロソフト(MSFT)、テスラ(TSLA)がその中心です。これらのテックジャイアントがビジネスへの投資を続けている点が注目されています。

UBSのCIOアメリカズ部門ポートフォリオ戦略責任者、ダニエル・スカンサロリ氏は、「米国内の主要企業は、生産性向上や利益率の拡大を目的としてAIインフラの構築に大規模な投資を行っています。エネルギーと半導体の供給不足が大規模な投資を呼び起こし、ファミリーオフィスもこれを活用しています」と述べています。

インフレ対策としての投資戦略

依然として経済に影響を及ぼすインフレと、その将来の行方が不透明な中、超富裕層は引き続き投資を維持する傾向があります。ゴールドマン・サックスのプライベートウェルスマネジメントキャピタルマーケット部門の責任者、サラ・ネイソン・タラジャノ氏は、「インフレを上回るパフォーマンスを実現し、購買力を維持しながら次世代に向けた資産を増やすことが富裕層の目標です」と述べています。

特に米国株式がインフレを上回る資産クラスとして推奨されており、これがファミリーオフィスの投資活動に反映されています。

プライベート市場への注目

超富裕層の投資と一般的な投資家との最大の違いは、プライベート企業への投資への意欲です。この傾向は2025年に向けてさらに強まると予想されています。多くの超富裕層は起業家として事業を成功させ、その後、売却または公開を行っています。そのため、プライベート市場におけるリスクを熟知しており、それに見合ったリターンを得られると信じています。

例えば、Tiger 21(個人資産が2000万ドルから10億ドルの範囲の富裕層ネットワーク)のメンバーのポートフォリオでは、公開株式が23%、プライベートエクイティが27%、不動産が27%を占めています。

また、Campden WealthとRBCの調査によると、ファミリーオフィスの42%が来年中にプライベート市場へのエクスポージャーを増やす計画を立てています。

プライベートエクイティの課題と魅力

ロンドンのオルタナティブ市場分析会社Preqinによると、プライベートエクイティファンドのリターンは減少傾向にあり、2029年までの7年間で年間リターンが13.4%に低下すると予測されています。それでも、プライベート市場の長期的な見通しを重視する超富裕層は、この分野への投資を続けています。

また、プライベートエクイティ内では企業のバリュエーションが過去数年間で約12%低下し、相対的に魅力的な投資先となっています。

不動産への回帰

超富裕層は不動産市場にも注目しています。オフィス市場には慎重な姿勢が見られるものの、集合住宅、ホスピタリティ物件、データセンターには関心が高まっています。UBSの調査によると、43%の超富裕層が不動産への投資を増やす予定です。

さらに、プライベート市場の高い手数料や取引減少を避けるため、プライベートエクイティファンドではなく、直接企業に投資するケースが増えています。

セクター多様化と共同投資の拡大

ファミリーオフィスは、不動産、製造業、ライフサイエンス、消費者向けテクノロジー、情報技術、天然資源など、幅広いセクターに関心を示しています。また、他のファミリーオフィスと協力して共同投資を行うケースも増加しています。

こうした動きの背景には、特定分野で専門知識を持つファミリーオフィスがファンドを立ち上げ、他のファミリーオフィスにも投資機会を提供することがあります。

ヘッジ手段としての貴金属

最後に、多くの超富裕層が経済や地政学的リスクへの備えとして、金やその他の貴金属への投資を増やしています。UBSの調査では、40%の超富裕層がこれらの資産にエクスポージャーを持っていると報告されています。

まとめ

2025年においても、超富裕層の投資戦略は「リスクを取りつつも長期的な視野を持つ」アプローチを重視すると予想されています。プライベート市場への直接投資、共同投資、不動産やテクノロジーセクターへの注力がその特徴です。これらの動向を理解することで、一般の投資家にとっても貴重なヒントを得ることができそうです。

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