エヌビディア(NVDA)の投資家にとって、ここ2年間はまさに記憶に残るものとなっています。同社の株価は2023年と2024年に2倍以上に上昇し、昨年初めから860%もの上昇を記録しました。この急騰の背景には、人工知能(AI)分野での急成長と、それに伴う同社の売上および利益の大幅な増加があります。
この記事では、2025年にエヌビディアの株価をさらに押し上げる可能性のある触媒について解説し、新年以降の成長シナリオを展望します。
堅調な需要と供給体制の改善が期待される
エヌビディアの最新世代GPUである「ブラックウェル」アーキテクチャは、2025年の主要な成長要因になると予想されています。経営陣は2024年11月の決算報告時に、これらのGPUがフル生産に入っており、すでに顧客への出荷が進んでいると述べました。
さらに、サプライチェーンの改善も売上の追い風となる見込みです。エヌビディアの製造パートナーである台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)は、2025年に先進的なAIチップの生産能力を大幅に増強する計画です。同社は、CoWoSと呼ばれる先進パッケージング技術の能力を66万枚に倍増すると予測されています。この中で、エヌビディアはその能力の60%を確保していると報じられており、ブラックウェルプロセッサの生産量を大幅に拡大できる可能性があります。
市場調査会社IDCの分析によれば、供給の改善により、2024年から2025年にかけての売上見通しはさらに明るいものとなっています。特にモルガン・スタンレーの予測では、ブラックウェルGPUは2025年の間、引き続き完売が続くとされており、TSMCの供給拡大によってより多くの注文に対応可能になると考えられています。
ブラックウェルシステムの売上増加が見込まれる
2025年には、エヌビディアが6万~7万台のブラックウェルB200サーバーシステムを出荷するとの予測が出ています。各システムは200万~300万ドルの価格で取引されると予想されており、ブラックウェルシステムの売上は1200億~2100億ドルに達する可能性があります。
ウォール街のアナリストらは、2025年の同社の売上を1950億ドルと見込んでおり、2024年度の予測売上である1290億ドルから51%の増加になると予想しています。また、ブラックウェルチップによる大幅な売上増加や、前世代製品である「ホッパー」チップの販売継続も考慮すると、エヌビディアの成長は市場予想を上回る可能性が高まります。
AI市場の需要増加が追い風に
AI市場での圧倒的な地位を背景に、エヌビディアは2025年も強力な成長を見せると予想されています。アナリストの最新の見立てでは、2025年の1株当たり利益(EPS)は平均4.43ドルになるとされ、これは90日前の予想(3.99ドル)を大きく上回るものです。一部のアナリストは、EPSが6.11ドルに達する可能性もあると述べています。
エヌビディアの成長が続けば、株価も大幅に上昇する可能性があります。仮に同社が来年の1株当たり利益を5ドルに引き上げ、利益の55倍の倍率で取引されるとすれば、株価は275ドルに達する計算になります。これは現在の水準からほぼ2倍の上昇を意味します。
投資家へのメッセージ
エヌビディアが引き続きAI市場で優位性を発揮し、売上および利益の大幅な成長を遂げるとするならば、同社の株価は今後も上昇する可能性が高いと考えられます。S&P 500の平均成長率を大幅に上回る見通しが続く中で、市場はエヌビディアにプレミアムな評価倍率を与え続けると期待されています。
ポートフォリオにエヌビディアを保有し続けることは、2025年に向けた投資戦略として有望で、そうすることで、同社がAI市場でさらなる躍進を遂げる姿を目の当たりにできる可能性があります。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA