2024年、AI関連技術を駆使した銘柄が市場で注目を集め、株式市場全体を牽引する存在となりました。特にS&P 500指数は、12月27日現在で25.1%もの上昇を記録しました。この背景には、人工知能(AI)技術への大きな期待が寄せられています。
多くのAI関連株は割高な評価額で取引されていますが、その中でも成長性が期待され、適切な評価額で取引されている銘柄も存在します。その中で特に注目されているのが、AIインフラ企業のネビウス・グループ(NBIS)です。
ネビウス・グループが再び注目を集める理由
ネビウス・グループは、2024年10月にナスダック市場に再上場を果たしました。同社はもともとロシア企業ヤンデックスの一部門でしたが、地政学的な理由から分離し、アムステルダムを拠点に独立企業として再編されました。この再編により、クラウド、データラベリング、教育テクノロジー、自律走行車の4つのAI事業がヤンデックスから切り離されました。
ネビウス・グループはAIをサービスとして提供し、企業や開発者が自社のAIモデルを構築するためのグラフィック処理ユニット(GPU)クラスタやクラウドプラットフォームへのアクセスを提供しています。AIを自社内で構築するには膨大なコストがかかりますが、AI技術は多くの企業にとって無視できない重要なツールとなっています。
例えば、サービスナウ(NOW)はネビウス・グループの技術を活用し、会話型チャットボットの処理能力を劇的に向上させました。従来の週400件の評価タスクから、1日3,000件以上に増加しています。
ネビウス・グループの強力なパートナーシップと注目の投資家
ネビウス・グループは2024年に大手ベンチャーキャピタルのAccelやAIチップメーカーのエヌビディア(NVDA)などから、7億ドルの資金調達を完了しました。同社はエヌビディアと特別なパートナーシップを結んでおり、顧客が最新のブラックウェル・チップに最初にアクセスできる点が注目されています。このような強力な支援を背景に、ネビウス・グループの株価は再上場価格の20ドルから40%以上上昇しました。
魅力的な成長性と将来の見通し
ネビウス・グループは財務面でも健全な基盤を持っています。直近の四半期で、売上が前年比766%増加し、損失も45%削減されました。同社は23億ドル近い現金および現金同等物を保有し、ほぼ負債がない状態です。さらに、10億ドルをパリのGPUクラスタに投資し、フィンランドのデータセンターも拡張中です。
経営陣は、2025年末までに年間売上を7億5,000万ドルから10億ドルに増加させる計画を立てています。これらの成長性を考慮すると、ネビウス・グループの評価額は割安と言えます。
比較対象としてのコアウィーブとネビウス・グループの可能性
AIインフラ企業コアウィーブが350億ドルの評価額でのIPOを噂される中、ネビウス・グループの時価総額は現在67億ドルにとどまっています。コアウィーブのIPOは、ネビウス・グループの市場評価を見直す契機になる可能性があります。
一方で、ネビウス・グループは地政学的な背景から、投資家にとって慎重な判断が求められる部分もあります。しかし、Accelやエヌビディアの投資は、同社の信頼性を裏付ける大きな要素です。このような高品質な企業が比較的低い評価額で取引されているのは稀です。
まとめ
ネビウス・グループは、AIインフラのリーダーとして2025年以降も成長を続けるポテンシャルを持つ企業です。その売上成長率、健全な財務状況、そして強力なパートナーシップは、AI関連銘柄の中でも特に注目されるべき存在といえます。投資家は、AI市場の今後の動向とともに、ネビウス・グループの成長性を評価することで、新たな投資機会を見出すことができるかもしれません。