モルガン・スタンレーのアナリスト、スティーブン・バード氏は2024年初頭に、人工知能(AI)ブームによる恩恵を受けると考えた無名の電力会社をいくつか推奨しました。その中には、コンステレーション・エナジー(CEG)、ビストラ(VST)、パブリック・サービス・エンタープライズ・グループ(PEG)、NRGエナジー(NRG)が含まれていました。
年末までに、これらの銘柄は株式市場で大きな注目を集めました。コンステレーション・エナジーとビストラの株価は、それぞれ94%と263%も上昇しました。他の2銘柄も、S&P 500を大きく上回るパフォーマンスを見せています。
コンステレーション・エナジーが注目された理由
スティーブン・バード氏は、大手テクノロジー企業が新たなデータセンターに投資する中で、発電所を所有する企業にとって大きなビジネスチャンスが広がっていると指摘しています。特にコンステレーション・エナジーのような企業は、今後もその好機を享受すると見られています。
データセンターの需要増加によって、発電所からの安定した電力供給が必要となり、発電事業者の売上基盤が強化されています。この傾向が続く中、今後の注目セクターが天然ガス関連企業に移る可能性が指摘されています。
2025年の注目銘柄は天然ガス関連企業
バード氏とモルガン・スタンレーのアナリストであるデビン・マクダーモット氏およびロバート・カド氏は、2025年に市場で最も注目を集めるのは天然ガスの生産および輸送を手がける企業になると予測しています。この中には、EQT(EQT)やアンテロ・リソーシズ(AR)、そしてパイプライン企業のエナジー・トランスファー(ET)やウィリアムズ・カンパニーズ(WMB)が挙げられています。
天然ガスはすでに米国最大の発電源となっており、電力需要がさらに増加することで、その重要性はますます高まると見られています。
データセンターの需要拡大と天然ガスの役割
ゴールドマン・サックスは、横ばいだった米国の電力需要が2030年までに年間約2.4%増加すると予測しています。また、モルガン・スタンレーの試算によれば、高度なAIチップの普及により、データセンターには2028年までに57ギガワット分の新しい電力容量が必要になる見込みです。
しかし、現在の電力供給能力はわずか12~15ギガワットで、さらに6ギガワットが建設中です。これにより、少なくとも36ギガワットの電力容量が不足している状況です。
メーターの裏側での取引と長期的な成長機会
天然ガスの需要増加を背景に、新たな発電所が建設される見込みがあります。その中には、新しいデータセンターと同じ土地に発電所を設置し、直接接続する「メーターの裏側」での取引が増える可能性も指摘されています。これにより、データセンターは長い送電承認プロセスを回避できるメリットがあります。
パイプラインや天然ガスインフラを所有するウィリアムズ・カンパニーズは、メーターの裏側での取引に積極的に取り組んでいると発表しており、CEOのアラン・アームストロング氏も詳細な話し合いが進行していることを明らかにしました。
天然ガス関連銘柄の評価と将来の可能性
EQTとアンテロ・リソーシズのような生産者の評価は控えめですが、これらの企業は今後の需要増加に伴い市場から再評価される可能性があります。また、天然ガス関連銘柄は、エヌビディア(NVDA)などAI関連銘柄のように高い成長が期待される段階にあります。
バード氏は「再評価される可能性が高く、非常に大きなチャンスがある」と述べており、2025年以降の天然ガス関連銘柄のパフォーマンスに強い期待を寄せています。
今後も、電力需要やAIの成長が生む新たな市場機会を注視し、関連銘柄への投資戦略を立てることが重要になっています。