2024年、人工知能(AI)への投資家の熱狂が再燃しました。テスラ(TSLA)、メタ(META)、アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、アップル(AAPL)の株価はいずれも最近、過去最高値を更新し、エヌビディア(NVDA)の株価は今年、175%以上の上昇を記録しています。
この流れを受けて、投資家はAI関連分野だけでなく、公益セクターやソフトウェア企業など、より広範な分野にも期待を寄せています。
S&P 500指数の未来と大型テクノロジー株
ゴールドマン・サックスの米国株式ストラテジストであるデビッド・コスティン氏は、S&P 500指数が2025年末までに6,500ポイントに到達すると予測しています。これは、市場全体の売上が大型テクノロジー株の成長に近づくことを示唆しています。
コスティン氏は、「今後のリターンを決定づけるのは評価額ではなく売上の成長です」と述べています。過去18カ月間に急成長を遂げた大型株の売上成長は鈍化が予想される一方で、S&P 500のその他の493銘柄については売上が回復すると期待されています。
AI投資による産業全体への影響
バンク・オブ・アメリカの株式戦略チームを率いるサヴィタ・スブラマニアン氏も、S&P 500の年末目標を2025年に6,666ポイントと予測しています。この予測には、AIによる売上の増加が反映されています。
スブラマニアン氏は、「AIが2025年の売上拡大に重要な役割を果たす」と指摘。特に、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン、アルファベット、メタの4社だけで、2024年の資本支出は42%増加し、2025年にはさらに17%増加する見込みです。その結果、2025年の総支出額は2440億ドルに達すると予想されています。
公益セクターへの注目
AIの成長に伴い、公益セクターも強気な見通しを示しています。ブラックロックの投資研究所によると、AIデータセンター1か所を稼働させるために必要な電力量は、ニューヨーク市全体が1日に使用する平均的な電力量に匹敵します。このため、公益セクターはAI関連需要の恩恵を大きく受けています。公益セクター全体は、2024年にはすでに20%以上上昇しています。
AI関連株のフェーズ移行と注目銘柄
ゴールドマン・サックスは、AI関連銘柄の「フェーズ1」から「フェーズ2」への移行が進んでいると指摘しています。「フェーズ1」は、エヌビディアのようなAIチップ製造企業を指しますが、「フェーズ2」ではAIインフラ関連銘柄に焦点が当てられています。たとえば、アーム・ホールディングス(ARM)や公益事業の大手ビストラ(VST)などが挙げられます。
さらに今後1年で、AI関連市場は「フェーズ3」へ移行すると予測されています。このフェーズでは、AIソリューションの展開による売上拡大が見込まれる企業が注目されます。例えば、マスターカード(MA)、セールスフォース(CRM)、アドビ(ADBE)といったソフトウェアおよびサービス関連企業がこのカテゴリーに該当します。
投資家の注目は次の段階へ
チャールズ・シュワブの上級投資戦略家ケビン・ゴードン氏は、AI関連銘柄が次の段階に進むにつれて、AI技術の「採用者」に対する注目が同技術の「創造者」よりも高まるとの見解を示しました。
AI分野の進化は、単なる技術革新に留まらず、テクノロジーや公益セクター、さらにはソフトウェア分野にまで影響を及ぼしています。2025年以降も、AIを活用した売上拡大が市場全体に新たな成長の波をもたらすと予想されます。