アップル(AAPL)が、テクノロジー業界で前例のない時価総額4兆ドルに達する可能性が注目されています。iPhoneメーカーである同社の現在の時価総額は約3兆8900億ドルであり、株価が264.623ドルに達すれば、この歴史的な節目を迎えることとなります。
2024年は、アップルが他のテクノロジー大手企業と比較して苦戦した年でもありましたが、AI関連の期待が株価を再び押し上げる要因となっています。
2024年のアップル株の動向
2024年の前半、アップルの株価は他の「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる企業群に遅れを取っていました。特に、生成AIへの投資家の関心が高まる中、アップルはAIプロジェクトを非公開にしていたことが響きました。しかし、6月のWWDC(Worldwide Developers Conference)で発表された「Apple Intelligence」イニシアティブ以降、投資家の期待が再び高まっています。
一方で、Apple Intelligenceの展開はまだ初期段階であり、ウォール街のアナリストたちはその進展を慎重に見守っています。特に、iPhoneの新たなアップグレードサイクルが本格化する兆しが見られておらず、投資家心理に影響を与えています。
AI戦略と将来の期待
アップルのAI戦略に関する市場の期待は高まっているものの、その進展速度には課題があります。例えば、J.P.モルガンのアナリスト、サミク・チャタジー氏は、iPhone 17の発売により、2025年度のiPhone販売台数が2億3000万台から2026年度には2億5100万台に増加する可能性があると予測しています。これに伴い、目標株価を265ドルとしています。
ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブ氏も、アップルのAIを活用したiPhoneのアップグレードサイクルに楽観的な見方を示しています。同氏は「アップルのAI戦略は長期的に同社の成長を支える柱となる」と指摘し、目標株価を325ドルに設定しています。
他のテクノロジー企業との比較
アップルの成長スピードは、他のテクノロジー大手と比較すると控えめです。エヌビディア(NVDA)の2024年の売上は609億ドルで前年から126%増加し、マイクロソフト(MSFT)は2451億ドルで16%増加しました。一方、アップルの売上は3910億ドルで前年から2%の増加にとどまっています。
これにより、エヌビディアやマイクロソフトと比べた成長率の差が浮き彫りとなっていますが、アップルのブランド力や顧客基盤が依然として強力な武器である点は変わりません。
株価評価と課題
現在、アップルの株価は予想利益の34倍で取引されており、過去5年間の平均である26.5倍を上回っています。このように、株価が高く評価されている一方で、投資家の期待はさらに高まっています。今後も成長を維持するためには、アップルが予想を上回る成果を示し、顧客需要が堅調であることを証明する必要があります。
ただし、経済環境としては、消費者が物価高騰に直面していることや、金利が高い水準で推移する可能性がリスク要因として存在します。
アップルの未来への展望
ファクトセットの調査によると、アップルをカバーするアナリスト53人のうち34人が「買い」、16人が「保留」、3人が「売り」と評価しています。こうしたデータからも、全体的に市場はアップルの将来に対して楽観的な見方を示しているといえます。
AIを活用した戦略の進展や、新しいiPhoneのアップグレードサイクルが始まることで、アップルの成長物語が再び大きな注目を集める可能性があります。時価総額4兆ドルへの道は挑戦的であるものの、着実な進展が見られれば、達成は十分に視野に入ると考えられます。
*過去記事はこちら アップル AAPL