生成AIブームの陰で:半導体株にショートポジション急増の理由

2024年、多くの投資家が生成AIの成長性を見込み、AI関連の半導体株を購入してきました。この流れの中で、エヌビディア(NVDA)、ブロードコム(AVGO)、マーベル・テクノロジー(MRVL)といった企業の株価は大きく上昇し、市場全体を大きくアウトパフォームしました。

しかし、12月に入り、これらの銘柄に対してショートポジションを取る投資家が増加しています。この記事では、その背景や将来の見通しについて詳しく解説します。

半導体株の驚異的なパフォーマンス

2024年、エヌビディアの株価は182%上昇し、ブロードコムは119%、マーベル・テクノロジーは92%の上昇を記録しました。一方、S&P500は27%の上昇にとどまっており、これらの半導体銘柄がいかに市場をリードしてきたかがわかります。

特に生成AIの普及による需要増加が、これらの企業の売上を大きく押し上げました。AI関連技術の拡大は、これからも半導体業界にとって重要な成長ドライバーとなる可能性が高いと思われます。

ショートポジションが増加する理由

12月中旬時点で、エヌビディアのショートポジションは前月末比で5.9%増加し、8月16日以来の高水準に達しました。マーベル・テクノロジーのショートポジションは25%増加し、8月以来の高水準となっています。ブロードコムも3.3%の増加を記録し、2023年11月以来の高水準となりました。

この背景には、以下の要因が考えられます。

高いバリュエーションへの懸念

これらの銘柄の高い株価収益率(PER)が、ショートポジション増加の一因となっています。エヌビディアの予想PERは32.8倍、ブロードコムは36.7倍、マーベル・テクノロジーは43.9倍と、いずれも割高感が指摘されています。2024年2月の決算発表では高い業績が求められるため、期待を下回る結果が出た場合、株価が急落するリスクも考えられます。

地政学リスクの影響

米中間の競争激化や輸出規制の不透明感が、投資家心理に影響を与えている可能性もあります。特に、半導体業界は中国市場への依存度が高いため、地政学的なリスクが企業の業績に影響を及ぼす懸念が残ります。

楽観的な見方も健在

一方で、多くのアナリストは依然としてこれらの銘柄に対して強気の見方を示しています。ファクトセットが調査したところ、これら3社に対するアナリストの大半が「買い」の評価を維持しています。

12月19日には、レイモンド・ジェームズのアナリスト、スリニ・パジュリ氏がマーベル・テクノロジーの目標株価を120ドルから130ドルに引き上げ、「アウトパフォーム」の評価を再確認しました。同氏は、同社の売上が今後3~4年で年率25%成長する可能性があると予測しています。

また、12月20日にはモルガン・スタンレーのアナリスト、ジョセフ・ムーア氏がエヌビディア、ブロードコム、アステラ・ラブズ(ALAB)を2025年の有望銘柄として推奨し、AIおよびデータセンター関連株への高いエクスポージャーを維持するようアドバイスしました。

リスクを意識しながら投資戦略を考える

これらの銘柄は引き続き注目される可能性がありますが、12月に見られるショートポジションの増加は、投資リスクが存在することを示唆しています。高い期待値に応える業績を発表できるか、地政学リスクを乗り越えられるかが、今後の株価の鍵を握ると考えられます。

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