「ダウの犬」という投資戦略をご存じですか?この戦略は、毎年初めにダウ平均株価(DJIA)の構成銘柄から配当利回りの高い10銘柄を選び、その年の間保有するというシンプルな方法です。そして、新年にはポートフォリオを再構築します。この戦略は、一般的に逆張り投資と見なされています。
高配当利回りは、企業の戦略、成長、経営、またはその他の問題が原因で株価が低迷している可能性を示唆します。ダウの犬は、こうした銘柄の業績改善を期待して投資する方法です。
2025年のダウの犬
2024年末時点で、2025年のダウの犬に選ばれた銘柄は以下の通りです:
- ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)
- シェブロン(CVX)
- アムジェン(AMGN)
- ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
- メルク(MRK)
- コカ・コーラ(KO)
- IBM(IBM)
- シスコ(CSCO)
- マクドナルド(MCD)
- プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
これらの銘柄の平均配当利回りは約3.5%で、ダウ平均全体の約2%を大きく上回っています。一方、S&P 500指数全体の配当利回りは約1.9%、配当を支払う銘柄の平均は約2.3%となっています。
2024年のダウの犬のパフォーマンス
2024年に選ばれたダウの犬は、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)、ダウ(DOW)、3M(MMM)などが含まれていました。しかし、これらの銘柄の2024年の平均値動きは1%の下落にとどまり、配当を考慮しなければS&P 500の24%上昇やダウ平均の14%上昇と比べて大きく劣る結果となりました。
2024年のダウの犬の一部銘柄が2025年のリストから外れた理由は、ウォルグリーンとダウがダウ平均株価の構成銘柄から除外されたことや、3Mの株価が改善して配当利回りがトップ10から外れたことが挙げられます。
過去数年の苦戦と今後の期待
ダウの犬戦略は、過去6年のうち5年間でダウ平均株価とS&P 500指数を下回る成績に終わっています。特に2024年は、ダウ平均に約14%ポイント、S&P 500指数に約25%ポイントの差をつけられる結果となりました。
ただし、2025年に向けて期待できる要素もあります。現在のダウの犬の平均株価収益倍率(PER)は16倍で、S&P 500の22倍と比較して割安感があるため、魅力的な投資機会と考えられます。このようなPERのギャップは、ダウの犬がS&P 500を上回った2022年初頭に似ています。
投資家が注目すべき銘柄
2025年のダウの犬は、エネルギー、消費財、ヘルスケアセクターの銘柄が多く含まれていますが、市場は近年、人工知能(AI)や「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる成長株に注目してきました。しかし、年初に新たな投資アイデアを探ることは有益といえるでしょう。
特に注目される銘柄は、アナリストの評価が高いコカ・コーラとメルクです。それぞれ、76%と81%のアナリストが「買い」と評価しており、配当利回りも3%以上です。市場の先行きが不透明な中でも、これらの銘柄は配当を通じて安定した売上を提供する可能性があります。
まとめ
ダウの犬戦略は、近年は市場平均を下回る結果が続いていますが、2025年は割安感が期待される年になるかもしれません。この戦略に基づいたポートフォリオは、安定した配当収入を得ながら、市場の反発を待つ手法として魅力的な選択肢となる可能性があります。投資家の皆様は、ぜひ自身の投資目標とリスク許容度を再確認した上で、今年の市場動向を注視してみてください。