米国株投資家にとって信頼のおける情報源である「バロンズ」誌が、2025年の逆張り投資について興味深い記事を掲載しました。勢いのある銘柄が市場で注目を浴びる中、あえて「敗者」と見られる銘柄に注目し、改善の可能性に賭ける戦略が取り上げられています。この記事では、バロンズの内容を元に、逆張り投資の考え方と具体的な注目銘柄について紹介します。
勢いのある市場と逆張りのアプローチ
2024年、株式市場は引き続き勢いのある銘柄が人気を集めています。たとえば、インベスコ S&P 500 モメンタムETF(SPMO)はS&P 500指数を大きく上回る47.2%の上昇率を記録しました。このETFには、アマゾン(AMZN)、エヌビディア(NVDA)、ブロードコム(AVGO)、メタ・プラットフォームズ(META)、バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)など、いわゆる「勝者」銘柄が含まれています。
一方で、逆張り投資家にとって魅力的なのは、こうした「勝者」ではなく、逆境にある企業です。市場の注目が集まりにくい銘柄に目を向け、改善の兆しが見られる場合にポジションを取ることで、大きなリターンを狙います。
バロンズが挙げる注目の「敗者」銘柄
バロンズは逆張り投資の観点から、いくつかの興味深い銘柄を挙げています。JC・オハラ氏(ロスMKMのチーフマーケットテクニシャン)は、大幅に売られ過ぎた銘柄や「サポートゾーン」に近い水準の銘柄に注目することを提案しています。その具体例には、以下の企業が含まれています。
- ナイキ(NKE)
- ウルタ・ビューティ(ULTA)
- メルク(MRK)
- ボーイング(BA)
- グローバル・ペイメンツ(GPN)
- ジンマー・バイオメット・ホールディングス(ZBH)
- スカイワークス・ソリューションズ(SWKS)
ウルタ・ビューティ:逆境からの復活劇
ウルタ・ビューティ(ULTA)は、2024年初めは好調なスタートを切り、3月には株価が1株あたり567.18ドルに達しました。しかし、3月の決算報告で低調な見通しが示された後、株価は大幅に下落。3月中旬から8月中旬にかけて43%の下落を記録しました。
しかし、その後の展開はポジティブです。バークシャー・ハサウェイが同社株を購入したことが明らかになると株価は36%上昇。さらに、クリスマス直前の「スーパー・サタデー」では店舗の訪問者数が2019年比で50%増加し、既存店売上高の成長が確認されるなど、改善の兆しが見られています。
ボーイング:複雑な課題と潜在的なリターン
ボーイング(BA)も、逆張り投資家にとって注目すべき銘柄の一つです。同社は新たにケリー・オータバーグCEOを迎え、生産効率の向上や品質管理の改善に取り組んでいます。737 MAXの製造再開や機械工のストライキ終了など、ポジティブな動きも見られますが、スピリット・エアロシステムズの買収計画を含め、多くの課題が残されています。
それでも、これらの課題を克服できれば、同社の株価には大きな上昇余地があると考えられています。
忍耐が必要な逆張り投資の魅力
逆張り投資は、モメンタム投資とは異なり、短期間で結果が出るものではありません。タイミングを慎重に見極め、忍耐強くポジションを保つことが求められます。しかし、改善余地のある「敗者」に注目することで、他の投資家が見逃すようなリターンを狙うことができます。
バロンズの記事は、2024年の市場で逆張り投資の可能性を再確認するうえで非常に示唆に富む内容でした。これらの銘柄を参考に、自分自身の投資戦略を検討してみてはいかがでしょうか。