半導体業界は、過去数十年にわたり目覚ましい成長を遂げてきました。景気後退期にはチップ需要が一時的に低下することもありますが、高度なデバイスやテクノロジーへの需要が堅調に続く中、長期的には需要の増加が見込まれています。特に人工知能(AI)の進化が、主要な半導体サプライヤーにとって売上拡大の大きな原動力となっています。
IDCの最新レポートによると、AI需要が半導体市場の成長を牽引し、2025年には市場が15%成長すると予測されています。この成長予測は、最近値下がりしている銘柄にとって絶好の買い機会を提供する可能性があります。
注目すべき銘柄の一つとして、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が挙げられます。同社は最近の最高値から大幅に値下がりしているものの、データセンター市場から堅調な売上成長を報告しています。ウォール街の目標株価によると、AMDの株価は12月21日現在の株価約120ドルを53%上回るとされています。以下では、この企業の将来性について詳しく見ていきます。
AMDは需要の回復を見込む
AMDの株価は近年目覚ましいリターンを記録してきました。同社はサーバー市場で大きなシェアを獲得しており、その多くはインテルからのシェア奪取によるものです。過去数年間で、AMDはサーバー向け中央処理装置(CPU)の市場シェアを一桁台から34%にまで引き上げています。
さらに、データセンター市場でのグラフィック処理ユニット(GPU)の需要が引き続き旺盛で、これが2025年に向けて同社の株価を大きく押し上げる可能性があります。ゲームや産業市場では業績が低迷しているものの、データセンター市場での成長がAMDの売上を前年同期比で2桁成長に導いています。アナリスト予測によると、2025年の同社売上は前年比で13%増加すると見込まれています。
産業市場向けの販売が回復すれば、さらに成長ペースが加速する可能性があります。例えば、第3四半期にAMDの組み込みチップ部門の売上は前年同期比で25%減少しましたが、前期比では8%の増加を記録しています。
AMDの株価は過去最高値から43%下落し、2025年のコンセンサス利益予想の23倍のPERで取引されています。ウォール街の目標株価は、これを基にすると妥当性が高いといえます。
また、同社はAIアクセラレータ(GPU)の市場が年間60%以上成長し、2028年までに市場規模が5000億ドルに達すると予想しています。この分野では、高い利益率が期待されており、売上の成長以上に利益の拡大が見込まれます。
アナリストによると、AMDの利益は2025年までに年率41%の成長が見込まれており、収益が5.13ドルに達すると予想されています。この場合、株価も収益成長に伴い上昇し、目標株価の184ドルに達する可能性があります。
投資家にとっての好機
AIの進化とともに、半導体業界は新たな成長期を迎えつつあります。アドバンスト・マイクロ・デバイセズのような企業は、データセンターやAI関連市場の需要拡大を背景に、今後も売上成長を続ける可能性があります。現在の株価は割安な水準にあり、長期的な視点で投資を検討する価値がある銘柄として注目されています。
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