年末になると、多くの投資家がタックス・ロス・セリング(Tax Loss Selling)の影響を受けた株式を探し求めます。タックス・ロス・セリングとは、投資家が年間を通じて損失を出した株式を売却し、その損失を利益確定分と相殺することで課税所得を抑える行動を指します。このプロセスによって、大幅に下落した株式がさらに売られ、割安になる傾向があります。この戦略を活用することで、年末には良い買い場を見つけるチャンスが増えるのです。
今回は、複数の資産運用専門家が選んだ注目銘柄を取り上げ、反発が期待される理由を分析します。
フットロッカー(FL)
フットロッカーは、スニーカーやスポーツ用品を専門に扱う小売チェーンですが、ナイキ(NKE)の販売戦略変更によって数年前に市場での地位が低下しました。しかし、ナイキは自社の直販戦略に限界を感じ、小売業者との提携を再開しています。この動きは、フットロッカーにとってプラス材料です。新たな経営陣のもとで、同社は店舗の刷新、バンドルパートナー(例:ビルケンシュトック、アグ)との関係強化、オンライン販売プラットフォームやロイヤルティプログラムの改善を進めています。
これらの取り組みは、売上の増加を後押しする可能性があります。同社の潜在力を市場が過小評価していると専門家は指摘しています。
CVSヘルス(CVS)
CVSヘルスは、全米で薬局を運営する大手企業であり、医療保険やヘルスケアサービスも提供しています。同社は買収を通じて医療関連コングロマリットに成長しました。現在は調剤薬局運営、アエトナ保険部門を通じた保険事業、そして医療サービスの提供を行っています。
株価は10年ぶりの低水準にありますが、アエトナ部門の立て直しや安定したキャッシュフローが期待されています。事業の個別価値を合計すると市場評価を上回るとされ、長期投資家にとって魅力的と考えられています。
チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(CRL)
チャールズ・リバー・ラボラトリーズは、バイオ医薬品や医療機器の研究開発に必要な前臨床サービスを提供する企業です。バイオテクノロジー研究サービス市場における過剰供給が、同社の価格競争力に影響を与えました。しかし、顧客の開発プログラム再開による収益増加が期待されています。同社は、業績の改善を通じて新たな投資家を引き付ける可能性があると考えられています。
バラリス(VAL)
バラリスは、オフショア掘削(海洋油田の掘削)を手掛ける大手企業です。オフショア掘削事業に対する懸念が、株価を押し下げましたが、掘削活動は2025年以降に再活性化し、2~3年にわたる成長サイクルが期待されています。
さらに、新しい掘削船の建造が抑制されていることや、業界の大手プレーヤーによる統合の可能性が価格競争力を高めると予想されています。
インターフォー(IFP)
インターフォーは、カナダを拠点とする木材製造企業で、製材所や林業資産を有しています。同社は、木材価格の低迷により大幅な株価下落を経験しました。しかし、米国の住宅不足や人口増加による住宅建設の増加が、木材需要を押し上げると見られています。また、森林火災や害虫による供給制約も、木材価格の上昇を支える要因となっています。
小型株の注目銘柄
小型株は流動性の低さから価格が変動しやすいものの、それが投資機会となる場合もあります。以下の2つの銘柄は、タックスロスセリングの影響から回復が期待される候補として挙げられています。
DLHホールディングス(DLHC)
DLHホールディングスは、政府機関向けに技術および医療アウトソーシングサービスを提供する企業です。同社は、約40億ドルの事業パイプラインを持ち、そのうち10億ドルを今後3~5年で獲得できる可能性があるとされています。財務リスクもありますが、専門家は十分なキャッシュフローで対応可能と見ています。
アビアット・ネットワークス(AVNW)
アビアット・ネットワークスは、マイクロ波および無線ネットワークサービスを提供する企業です。主要顧客による一時的な支出抑制の影響で株価が下落しましたが、同社はこれを一時的な問題とみなし、業績回復の見通しを示しています。収益の増加が再び注目を集める可能性があります。
投資家へのアドバイス
タックスロスセリングで売られた株式は、市場が過小評価している可能性があります。これらの銘柄をじっくり調査し、長期的な視点で評価することで、良好なリターンが期待できるかもしれません。