ネットフリックス(NFLX)は、2027年と2031年に開催されるFIFA女子ワールドカップの米国での放映契約に合意しました。この契約により、ネットフリックスはNFL、ボクシング、WWEなどのライブスポーツ分野にさらに深く進出することになります。
ブライトラインのCEOジャクリーン・コルベリ氏は、「この新しいFIFAとの契約は、ライブスポーツをブランド戦略の中心に据えるストリーミング配信会社の意図を示しています」とコメント。また、「スポーツ放送分野において、ネットフリックスブランドに新たな信頼性と威信をもたらすものとなります」と付け加えました。
契約条件の詳細は明らかにされていませんが、ネットフリックスはこの放映権に数百万ドルを投じた可能性が高いとされています。これまでスポーツの放映権にかかる費用は急上昇しており、2011年にはFoxが2015年から2022年までの女子ワールドカップの放映権を取得しました。
女子スポーツの新たな視聴者層を獲得
コルベリ氏は、「FIFAのライブ放送権を取得することで、ネットフリックスは女性スポーツファンの新たな視聴者を引き込み、加入者数を拡大し、広告リーチを広げています」と述べています。
2023年の女子ワールドカップでは、FIFAが男子大会とは別の独立したパッケージとしてメディア権を販売しました。このモデルは今後も継続される予定です。
現在、男子ワールドカップの放映権はFoxが所有しており、2026年に北米で開催される男子大会も放送予定です。一方、2023年の女子ワールドカップでは賞金総額1億5200万ドルが用意されており、女子大会への投資が増加しています。
ネットフリックス、ライブ放送とドキュメンタリー制作で女子サッカーの成長を後押し
ネットフリックスの最高コンテンツ責任者ベラ・バジャリア氏は、「この大会をネットフリックスで配信することは、単に試合をストリーミングするだけでなく、選手や文化、そして世界的な女子スポーツの盛り上がりを称えることを意味します」と述べています。
また、FIFAはネットフリックスが両大会の独占ドキュメンタリーシリーズを制作すると発表しました。このシリーズは、トップ選手たちの軌跡や女子サッカーの成長を描き出すものとなります。
FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は、「ネットフリックスとの提携は、女子サッカーの発展に対する強いコミットメントを示しており、歴史的な意味を持つものです」と述べました。
米国市場での競争とネットフリックスの戦略
2023年の女子ワールドカップでは、全64試合で総視聴者数が19億人に達しました。ネットフリックスとの契約は主に米国市場を対象としており、他国での地上波放送の追加についてはまだ発表されていません。
ネットフリックスのCEOテッド・サランドス氏は2022年に「スポーツがなくても成長可能」と語っていましたが、現在ではスポーツコンテンツへの投資を加速しています。例えば、2024年11月に行われたマイク・タイソンとジェイク・ポールの試合では、視聴者数が1億800万人に達し、ネットフリックスの株価は過去最高値を記録しました。
さらに、クリスマスにはNFLの試合をライブ配信する予定です。このイベントにはカンザスシティ・チーフスやピッツバーグ・スティーラーズといった人気チームが登場します。
従来の放送局を凌ぐストリーミングサービス
近年、ストリーミングサービスがスポーツ放映権を獲得する動きが加速しています。コムキャストのPeacockはプレミアリーグの放映権を、アマゾンはNFLの木曜夜フットボールの放映権を、Apple TVはMLSの放映権を取得しています。
ネットフリックスの株価はここ数か月で86.7%上昇しており、同期間のS&P 500の上昇率24%を大きく上回っています。今回の契約を通じて、ネットフリックスはライブスポーツ市場での存在感をさらに高めると考えられます。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX