米国のテクノロジー企業、オラクル(ORCL)は、12月20日に新たな弱気派アナリストによる格下げを受け、注目を集めました。この格下げは、オラクルを取り巻く「誇張」が厳しい競争環境を打ち消すには不十分であると指摘したものです。
Monness, Crespi, Hardt & Co.のアナリストであるブライアン・ホワイト氏は、オラクルの投資評価を「中立」から「売り」に引き下げ、目標株価を130ドルに設定しました。
過去1年間の株価パフォーマンスと評価指標の課題
ホワイト氏は、オラクルの株価が過去1年間で好調なパフォーマンスを見せた要因として生成AIブームを挙げました。しかし、同時に株価収益率(PER)の急激な上昇が問題視されました。
「オラクルの現在のPERは、長期的な歴史的平均の約2倍に達している」とホワイト氏はコメントしています。このことは、投資家にとって同社の評価が過大と見なされる可能性があることを意味します。
第2四半期の業績、期待外れの結果
2024年11月30日に終了した会計年度の第2四半期において、オラクルの売上と1株当たり利益はウォール街の予想を下回りました。同社は売上140.6億ドル、1株当たり利益1.47ドルを報告しましたが、これは市場が予想していた売上141億ドル、1株当たり利益1.48ドルに届きませんでした。
また、同四半期では資本支出が過剰であるとの指摘もありました。11月期の資本支出は40億ドルと、アナリスト予測の35億ドルを超え、これがフリーキャッシュフローのマイナスを招く結果となりました。
クラウド事業における課題
ホワイト氏は、オラクルのクラウドコンピューティング事業の競争環境を厳しいものと評価しました。アマゾンのAmazon Web Services(AWS)、マイクロソフトのAzure、アルファベットのGoogle Cloud Platformといった、資金力のあるビッグテック企業がこの分野を支配しています。
オラクルは、生成AIの需要を早期に捉えたことで利益を得ましたが、ホワイト氏は「ビジネスモデルの長期的な持続可能性と競争力」について疑念を示しました。
今後の展望と競争環境
オラクルは、クラウド事業への積極的な投資と生成AIのトレンドから利益を得る可能性を持つ優れた企業とされています。しかし、評価の伸び悩み、競争の激化、ソフトウェア事業の過渡期、そしてマクロ経済の不安定性が同社の将来に影響を及ぼす可能性があります。
*過去記事「オラクルの株価急落、四半期業績に対する市場の反応」