ウェドブッシュ証券が原子力発電の新興企業オクロ(OKLO)を「アウトパフォーム」と評価しカバレッジを開始したことを受け、12月19日午前の米国市場で同社の株価は15%近く上昇しました。この評価の背景には、「2025年までの勢い」と人工知能(AI)ブームを活用する能力が挙げられています。ウェドブッシュのアナリスト、ダニエル・アイブス氏はオクロの目標株価を26ドルと設定しました。
19日の午前、オクロの株価は前日比15.1%上昇し、21.16ドルとなっています。
オクロの「建設、所有、運営」モデルが高評価
ウェドブッシュ証券がオクロを高く評価した理由の一つは、競合他社とは異なる「魅力的な建設、所有、運営のビジネスモデル」です。同社は原子炉そのものではなく電力を顧客に直接販売し、長期契約を通じて長期間の安定した売上を確保しています。このモデルはまた、合理化された規制経路を可能にしていると指摘されています。
スイッチ社との提携でさらなる成長を見込む
オクロは18日、データセンター・キャンパスを運営する非公開企業、スイッチ社とのエネルギー販売提携を発表しました。この契約に基づき、オクロは2044年までに12ギガワットの電力供給を目標に、全米で発電所の開発と運営を行う予定です。
AIブームが生み出すクリーンエネルギー需要
ウェドブッシュは、人工知能ブームによってクリーンエネルギーの需要が急増していると分析しています。同社は「オクロはこの需要の高まりを最大限に活用する準備が整っている」と述べています。
「AI革命が進行している現在、業界では2030年までにコンピューティングパワーを約10倍に増強する必要があり、膨大な量のエネルギーが消費される」とアナリストはコメントしています。
高純度低濃縮ウランを使用する小型原子炉「オーロラ」
ウェドブッシュが注目するオクロの主力製品の一つが、オーロラ小型原子炉です。この原子炉は高純度低濃縮ウラン(HALEU)を燃料として使用します。HALEUは従来の低濃縮ウランに比べ、優れた燃料効率があることが証明されています。
上場後の成長と市場での競争
オクロは2024年5月にニューヨーク証券取引所に上場しました。上場は、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏が率いる特別目的買収会社AltC Acquisition Corp.との合併によって実現しました。
小型モジュール炉市場では熾烈な競争が展開されており、ウェドブッシュはこれを「軍拡競争」と表現しています。しかしながら、オクロはAI分野の大手企業からの支援を受けており、競合他社に対して優位性を保っていると見られています。
オクロの今後の成長と、AI革命によるエネルギー需要の高まりを背景に、原子力発電分野での動向は引き続き注目されています。