最近の取引動向は、投資家がテスラの将来の成長に高い期待を寄せていることを明確に示しています。
先週末12月13日の時点で、テスラ(TSLA)株は11月5日の選挙以降73%も上昇し、年初来では約76%の上昇となっています。この選挙後の急上昇により、不調に思われた1年が瞬く間に驚異的な成果へと変わりました。
この急騰により、テスラ株の2025年予想利益に対する株価収益率(PER)は130倍という驚異的な水準に達しています。この水準は、S&P 500に含まれる1兆ドル規模の企業群、通称「マグニフィセント・セブン」の中でも際立っています。
テスラ株、他の“マグニフィセント・セブン”を大きく上回る評価
「マグニフィセント・セブン」は、アップル(AAPL)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)、メタ(META)、マイクロソフト(MSFT)、エヌビディア(NVDA)、そしてテスラで構成されています。このグループにブロードコム(AVGO)を加えた場合でも、テスラ以外の企業の2025年予想PERは平均で29倍程度に留まります。
さらに、テスラ株はすでに大手証券会社が設定した目標株価の上限を超える水準に達しています。先週13日時点での目標株価の最高値は、米国大和証券のアナリスト、ジャイラム・ネイサン氏が提示した420ドルでした。しかし、ウェドブッシュ証券のダン・アイブス氏が14日に目標株価を515ドルに引き上げ、これが現在のウォール街最高値となっています。同氏は「自動運転の未来が予想以上に早く到来している」と述べています。
テスラの自動運転タクシー計画への期待の高まり
テスラ株の高いPERが正当化される背景には、以下の二つの要因があります:
新モデルの発売計画
- 2025年に発売予定の新しいモデルにより、販売台数が約25%増加し、230万台に達すると予想されています。この数字はウォール街の予測より20万台も多いものです。
自動運転タクシー事業
- テスラは2025年後半に自動運転タクシーサービスを開始する計画です。この事業はまだウォール街の利益予測には反映されていませんが、投資家の期待は非常に高まっています。
さらに、テスラは最新の運転支援ソフトウェア「Full Self Driving(FSD)バージョン13.2」をまもなく広くリリースする予定です。このアップグレードにより、自動運転機能がさらに向上し、人間よりも安全な運転が可能となることを目指しています。この技術が十分な安全性を確保すれば、ロボタクシー事業を本格的に展開できる可能性があります。
テスラの株価は未来の利益を反映しているのか?
ロボタクシー事業がテスラにもたらす収益を正確に見積もることは困難です。同様の事業を展開しているのは現在、アルファベット傘下のウェイモのみで、同社は毎週15万回以上の無人タクシー運行を行っています。
テスラのPERを他の1兆ドル企業並みの平均水準(約29倍)にするには、年間約500億ドルの利益が必要です。このうち、車両事業による利益は約100億ドルと予測されています。そのため、ロボタクシー事業は年間約400億ドルの利益を生み出す必要があります。この目標が達成されれば、テスラの現在の評価は他の1兆ドル企業と同水準に近づくでしょう。
イーロン・マスク氏は2022年に、テスラがアップルとサウジアラムコを合わせた時価総額(約5.6兆ドル)を超える可能性があると述べました。この目標を達成するには、年間約2250億ドルの利益が必要です。
ロボタクシー事業の収益予測は依然として不透明ですが、投資家の期待はかつてないほど高まっています。
*過去記事はこちら テスラ TSLA