AIチップ市場の台風の目!ブロードコムが見せた1兆ドルの快進撃

ブロードコム(AVGO)は、第4四半期の決算報告を受けて12月13日の米国市場で株価が24.43%上昇し、224.8ドルに達しました。これにより、同社の時価総額は初めて1兆ドルを超えました。

ブロードコムは、ネットワーク、ブロードバンド、サーバーストレージ、ワイヤレス分野でプロセッサを製造するほか、VMwareを傘下に持つなど、ソフトウェア事業も展開しています。しかし、今回市場を揺るがしたのは、同社のハイエンドASIC(特定用途向け集積回路)での競争力でした。このチップは、カスタムAIチップとしての用途でも注目されています。

次世代AIチップ開発で新規顧客を獲得

ブロードコムは、新たに2社の大手顧客から次世代AIチップの開発を支援する企業として選ばれたと発表しました。ウィリアム・ブレアのアナリストによると、新規顧客はアップル(AAPL)とChatGPTの開発元であるOpenAIである可能性が高いとされています。また、既存顧客にはグーグルの親会社であるアルファベット(GOOGL)や、メタ・プラットフォームズ(META)、さらにはTikTokの親会社であるバイトダンスが含まれると予想されています。

ウォール街全体の反応はほぼ全て肯定的で、アナリストたちはブロードコムがAIデータセンターへの巨額投資から恩恵を受ける可能性に注目しています。しかし、今年の株価がほぼ倍増したことで、アナリストたちの楽観的な見方の限界に近づいているようです。ファクトセットによると、最新の決算報告を受けて多くの格上げがあったにもかかわらず、平均目標株価は現在217.20ドルとなっています。

AI関連売上の急成長と投資家還元

ブロードコムのAI関連売上は、半導体セグメントにおいて会計年度で122億ドルに達し、前年の3倍以上に増加しました。同社の年間総売上高が516億ドル(44%増)であることと比較すると、この急成長はAI市場における同社の潜在力を物語っています。同社は、イーサネットネットワークやカスタムAIチップ、VMwareのライセンス収入増加など、複数の追い風を受けています。

また、ブロードコムは利益を大幅に押し上げ、自社株買いや配当を通じて株主への還元も積極的に行っています。このように、リスクとリターンのバランスは非常に良好であると評価されています。

AI市場における今後の見通しとリスク

メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は、2027年度のブロードコムのAI関連売上が既存のカスタムシリコン顧客3社のみで600億ドル〜900億ドルに達すると予測しています。この予測に基づき、同社株式を「買い」と評価し、目標株価を255ドルに設定しました。

一方で、レイモンド・ジェームズのアナリスト、スリニ・パジュリ氏は、カスタムチップへの投資が2025年前半には低迷する可能性を指摘しています。また、ブロードコムの市場予測は、既存の顧客が100万個のチップを用いたクラスターを構築することを前提としていますが、この規模の成長が達成できるかについては不確実性があるとしています。

ブロードコムと競合他社の位置付け

AIデータセンター市場では、ブロードコムに加えてエヌビディア(NVDA)、マーベル・テクノロジー(MRVL)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)といった企業が成長の鍵を握っています。それぞれの企業が市場での地位を高める中、ブロードコムの戦略と成長ペースは、投資家の注目を集め続けています。

*過去記事 ブロードコム AVGO

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