2024年ダウ平均のトップパフォーマーはエヌビディアではなく、ウォルマート!

  • 2024年12月11日
  • 2024年12月11日
  • BS余話

ウォルマート(WMT)は、その低価格戦略と「ロールバック」セールスによって顧客にとって「幸せな場所」として支持されています。しかし、投資家がウォルマートを高く評価している理由はそれだけではありません。同社の株価は2024年に80%も急騰し、株式市場で大きな注目を集めました。

エヌビディアに次ぐ高パフォーマンス

エヌビディア(NVDA)は、2024年に175%近い上昇率を記録しましたが、エヌビディアがダウ平均に加わったのは11月初旬のため、ウォルマートが年間を通じてダウ平均のトップパフォーマーと言えます。ライバルであるアマゾン(AMZN)の株価は、2024年に50%の上昇にとどまっています。

ウォルマートの株価は、2025年もウォール街を驚かせる存在となるのでしょうか?アナリストたちは、この疑問に対して楽観的な見解を示しています。ウォルマートをカバーする41人のアナリストのうち、37人が「買い」または「アウトパフォーム」と評価し、「ホールド」は3人、「売り」は1人にとどまっています。

株価収益倍率が高いウォルマートの評価

ウォルマートの株価は来期の予想売上の34倍で取引されており、過去5年間の平均的な予想株価収益率である23倍を大きく上回っています。また、SPDR S&P小売株指数連動型ETFの収益倍率16倍の2倍以上に相当します。

これほど高い評価を受ける理由は、ウォルマートが競合他社の苦境を活用し、収益を拡大しているからです。ターゲットやディープディスカウントチェーンであるドル・ツリー、ドル・ジェネラル、百貨店のコールズやメイシーズといった競合に対し、ウォルマートは優位性を確保しています。また、同社は近年、より高所得の顧客層を取り込むことにも成功しています。

高所得層を含む全所得層での売上成長

BMOキャピタル・レポートのアナリスト、ケリー・バニア氏によると、ウォルマートの米国市場シェアの75%が高所得世帯によるものです。それだけでなく、全所得層でも売上が伸びていると同氏は指摘しています。インフレが懸念される中、ウォルマートの価格戦略が消費者心理に良い影響を与えているとの見方が強まっています。

TDカウエンのオリバー・チェン氏は、ウォルマートの強みを「選択的で思慮深い消費者や買い物客によるもの」と評価しています。同氏は、より裕福な顧客もコスト削減を重視していることがウォルマートの成功につながっていると指摘しています。

デジタルコマースとサブスクリプションサービスの成長

ウォルマートのデジタルコマースは、総売上の約20%を占めるまでに成長しました。また、同社のサブスクリプションサービス「Walmart+」は、アマゾンのプライムに匹敵するサービスとして注目を集めています。

エバコアISIのアナリスト、グレッグ・メリック氏は、プライム会員の成長が鈍化する中で、「Walmart+」の成長はこれからが本番であると指摘しています。

広告事業の拡大と新たな成長戦略

ウォルマートは広告事業「ウォルマート・コネクト」の売上を前年から26%増加させました。最近のスマートテレビメーカー、ヴィジオの買収により、広告事業のさらなる成長が期待されています。

パイパー・サンドラーのアナリスト、ピーター・キース氏は、ヴィジオの買収がウォルマートの広告データ戦略において理にかなっていると述べています。ヴィジオの2000万近いアクティブユーザーアカウントがウォルマートの広告ネットワーク拡大に寄与するとの見方が示されています。

関税リスクと将来の見通し

トランプ次期大統領の就任により、関税の影響がウォルマートに及ぶ可能性がありますが、UBSのアナリスト、マイケル・ラッサー氏は「管理可能なリスク」と評価しています。同社は販売商品の3分の2が米国製であり、過去の関税問題にも柔軟に対応してきました。

投資家へのメッセージ

ウォルマートの株価は、過去のトレンドから考えてもすぐに反落する可能性は低いと考えられています。トランプ氏の最初の任期中、ウォルマートの株価は2倍以上に上昇しており、その実績が信頼を後押ししています。

2025年もウォルマートがその成長を続けるかどうかは明らかではありませんが、アナリストや投資家の間では高い期待が寄せられています。ウォルマートの今後の展開に注目が集まります。

*過去記事「ウォルマート株急騰!市場予測を超えた四半期業績と投資戦略

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