オラクル決算発表:AI需要で成長も期待にわずか届かず、その理由は?

  • 2024年12月10日
  • 2024年12月10日
  • BS余話

オラクル(ORCL)の11月期決算が12月9日のマーケット終了後に発表されました。その内容は、人工知能(AI)分野で急成長を遂げる同社への期待に対し、やや控えめな結果となりました。1株あたり1.47ドルの利益を報告したものの、ウォール街の予測である1.48ドルをわずかに下回り、時間外取引で7.6%下落し、176ドルで取引されています。

売上は140.6億ドルで予想を下回る

売上は前年比9%増の140.6億ドルとなり、ウォール街のコンセンサス予想である141億ドルを下回りました。クラウド関連のサービスが成長を牽引しましたが、他のセグメントの減速が影響しました。

オラクルのサフラ・カッツCEOは、「記録的なAI需要により、オラクル・クラウド・インフラストラクチャの売上は52%増加しました。この成長率はハイパースケール・クラウド・インフラストラクチャの競合他社を上回っています」と述べています。

クラウドサービスの売上増加が目立つ

クラウドサービス全体の売上は59億ドルに達し、前年から24%増加しました。クラウドサポートを含めたクラウド関連の売上は108億ドルとなり、成長率は堅調でした。しかし、従来のクライアント・プレミス・ライセンスの売上成長率が鈍化しており、8月期の年間成長率7%から11月期には1%に減少しています。

また、オラクルのクラウド・インフラストラクチャはインフラストラクチャ・クラウド・サービスおよびサポートの売上が前年比17%増となり、前期の13%増を上回る加速を見せました。一方で、クラウドベースのエンタープライズ・ソフトウェア・アプリケーションの売上成長は7%と、緩やかな伸びにとどまっています。

AI需要が牽引するも課題も残る

オラクルの「残存履行義務」と呼ばれる指標では、11月期のソフトウェアおよびサービスの受注残高が8月時点の990億ドルから970億ドルへと減少しました。この減少は、オラクルが新規顧客にサービス提供を開始したことが主な要因であり、必ずしも受注の鈍化を意味しません。

また、同社の生成AIサービスへの需要は引き続き高く、オラクルは自社のデータセンター容量を補完するため、アルファベット(GOOGL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)のクラウドを活用して顧客のコンピューティングジョブを実行する契約を結んでいます。

大規模投資とフリーキャッシュフローの課題

オラクルは、世界最大かつ最速のAIスーパーコンピューターを納入し、AI分野での競争力を強化しています。このスーパーコンピューターは、エヌビディア(NVDA)のHopper 200アクセラレーターチップを最大65,000個まで拡張可能な設計となっています。

11月期の資本支出は40億ドルとなり、アナリストの予想である35億ドルを上回りました。しかし、営業キャッシュフローが13億ドルであったにもかかわらず、フリーキャッシュフローは23億ドルのマイナスとなっています。

グッゲンハイム証券のアナリスト、ジョン・ディフッチ氏はフリーキャッシュフローがマイナスになることを予測していましたが、23億ドルものマイナスは予想外だったと指摘しています。同氏は、2025年2月期にはフリーキャッシュフローがプラスに転じると予測し、目標株価を200ドルから210ドルに引き上げています。

今後の成長見通し

オラクルの株価は、AI分野での注目度の高さから2024年の年初来で80%上昇しており、ナスダック総合指数の32%増を大きく上回っています。しかし、フリーキャッシュフロー倍率が今後12ヶ月間のコンセンサス予想の55倍に達しており、高い期待が株価に織り込まれています。

オラクルが新たな顧客基盤を拡大し、引き続きAIおよびクラウド分野での競争力を強化できるかが、今後の成長を左右する重要なポイントとなります。

*過去記事「オラクル株に投資する理由:クラウドとAI需要が成長を牽引

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