テスラ(TSLA)の株価は、ここ数週間で劇的な値動きを示しています。11月5日の米国大統領選挙以降、同社株価はほぼ2倍となり、ウォール街のアナリストたちもこの急激な上昇ペースに追いつくことが難しい状況です。
テスラ株価、S&P500やダウ平均を上回る躍進
テスラの株価は12月6日に5.3%上昇し、終値は389.22ドルとなりました。S&P 500は0.3%高、ダウ工業株30種平均も0.3%程度の上昇であったことを考えると、テスラは群を抜く上昇です。テスラがここまでの高値で引けたのは、2022年1月3日に399.93ドルで終値を記録して以来となります。
アナリストの目標株価引き上げと政策関連報道
今回の上昇要因として、まずバンク・オブ・アメリカ証券のアナリストであるジョン・マーフィー氏が、テスラの目標株価を350ドルから400ドルへ引き上げたことが挙げられます。また、ロイター通信は、トランプ次期大統領が郵便局(USPS)によるEV調達計画を中止する可能性を報じました。
USPSのEV調達計画はオシュコシュ(OSK)が受注しており、テスラが直接恩恵を得るわけではありません。テスラは現時点で商用車を生産していないため、直ちに有利になる情報とは言い難いものの、一部投資家は「USPSがEV調達計画を見直すなら、将来テスラが政府向けに商用EVを提供する機会が巡ってくる可能性がある」と考えているようです。実際、オシュコシュの株価は4.7%下落しました。
ただ、こうした政策関連の報道はあくまで一つの見方であり、単純に勢いのある銘柄としてテスラが買われている可能性も指摘されています。実際、テスラは5日に約370ドル近辺で52週高値を更新しており、2024年4月には140ドルを下回り、選挙直前は250ドル割れだったことを考えると、この上昇幅は極めて印象的といえます。
ウォール街との乖離:目標株価が現在値より大幅に低い
テスラの平均目標株価(ファクトセット調べ)は256ドル前後で、現在の取引価格から30%以上低い水準です。11月5日の選挙後には約21ドル引き上げられているものの、株価の上昇速度には追いついていません。
一般的に、アナリストの目標株価は今後12カ月程度を見据えた株価水準、または「この価格で買えば将来適正なリターンが期待できる」目安として機能します。通常は現在値よりわずかに上回る程度で設定されることが多いものの、テスラの場合はすでに平均目標を大幅に上回っています。
過去3年間、テスラ株は平均目標株価を上回る期間が約3分の1に及びます。これは他の企業と比べて異例です。例えば、アップル(AAPL)の場合、平均目標株価を上回る期間は10%以下です。
テスラ株の特異性
また、テスラは強気派・弱気派の開きが非常に大きいことでも知られています。極端な値を除いても、テスラに対する最高値と最低値の目標株価差は約275ドルで、これは現在の株価の約75%相当です。アップルやゼネラルモーターズ(GM)の同差が35%、45%程度であるのに対して、テスラは圧倒的に見解が分かれる対象といえます。
新規ビジネスへの期待:ロボットや自動運転タクシーが株価を牽引
ここ最近のテスラの急騰は、アナリストの利益予想が大きく変動したわけではありません。足元の業績で買われているのではなく、将来的なロボット事業や自動運転タクシーといった新たなビジネスモデルが株価を押し上げていることが示唆されています。これらの新規事業はまだ本格化していないものの、投資家たちは長期的な成長ストーリーに期待を寄せている状況です。
まとめ:2025年はテスラ株が引き続き注目の的
2024年12月6日現在で、テスラ株は年初来で約56%上昇し、11月5日の選挙以降で約54%上がっています。ウォール街の予想を上回る勢いで動き続けるテスラは、今後も投資家にとって大いに注目される銘柄と考えられます。
*過去記事はこちら テスラ TSLA