人工知能を搭載した音声技術を開発するサウンドハウンドAI(SOUN)の株価が急騰しています。同社のシステムがファーストフード企業をはじめとするさまざまな業種で採用され、特に顧客対応分野で注目を集めています。
トーチーズ・タコスとの契約発表でさらなる成長
12月5日サウンドハウンドAIは、米国のファーストフードチェーンであるトーチーズ・タコスとの契約を発表しました。同チェーンは、130店舗においてサウンドハウンドAIの音声AI技術を導入する予定です。この発表を受け、6日の米国市場で株価は12.6%上昇し、前日の31%高に続く勢いを見せました。
導入されるシステムは、複数の電話に同時対応し、注文受付だけでなく、メニューや特別メニュー、営業時間、アレルギー情報などの一般的な質問にも答えることができます。この技術により、顧客対応の効率化が期待されています。
エヌビディアや大手ファーストフードチェーンとの提携
エヌビディア(NVDA)は3月にサウンドハウンドAIの株式を0.6%保有していることを明らかにしました。また、サウンドハウンドAIはすでにチポトレ、ジャージー・マイクス、ホワイトキャッスル、アップルビーズ、チャーチズ・テキサス・チキンなどの大手ファーストフードチェーンと提携しています。
同社の音声AI技術は現在、1万店以上のレストランで導入されており、その信頼性と効率性が高く評価されています。
自動車メーカーや通信企業との広範な連携
サウンドハウンドAIは、現代自動車、起亜自動車、ステランティス、モトローラ、クアルコムといった幅広い企業とも提携しています。このような多岐にわたる業界との連携は、同社の技術が多目的に活用される可能性を示しています。
保険業界への進出と会話型AIの成功事例
先月、サウンドハウンドAIはフランスの大手保険会社が同社の会話型AIエージェントを導入したことを発表しました。このシステムは2024年に10万件以上の顧客からの問い合わせに対応し、人間による対応件数を20%近く削減する成果を上げています。
株価の急上昇と課題
サウンドハウンドAIの株価は過去1か月で108%上昇し、年初来では608%の上昇を記録しています。一方で、同社はまだ利益を計上しておらず、2024年9月期の決算では1株当たり6セントの損失を報告しました。しかし、売上は2,500万ドルと前年同期のほぼ2倍に達しています。
一方で、サウンドハウンドAIの空売り残高は高く、流通株式の4分の1以上が空売りされている状況です。これは一部の投資家が株価の下落を予想していることを反映しています。
投資家への考察
サウンドハウンドAIの音声技術は、多様な業界での導入実績や高い評価を得ていますが、株式市場での動向には慎重な分析が求められます。同社の成長性と現在の株価動向を総合的に評価することが重要です。