セールスフォース(CRM)は12月3日に発表した最新の四半期決算において、売上の堅調さを示しました。特に、人工知能(AI)への多額の投資がソフトウェア市場に対する需要を支えていることが明らかになりました。今回の決算では、ウォール街の売上予想を上回り、利益は予想を下回ったものの、2025年の売上予測の下限を1億ドル引き上げ、378億ドル〜380億ドルの間と修正しました。
この修正幅は一見わずかに見えるものの、同社の新しい生成AIイニシアティブ「Agentforce」に対する市場の期待感を反映しています。
株価の大幅上昇とAIイニシアティブの注目
セールスフォースの株価は12月4日の午後、8.7%上昇して360.27ドルとなりました。同時に、テクノロジーセレクトセクターSPDR ETF(XLK)も1.6%上昇し、過去最高値で取引を終える勢いを見せています。
10月にローンチされたAgentforceは、AIエージェントとしてチャットボットに似た機能を持ち、導入企業の生産性向上を目的としたツールです。同社のCEOであるマーク・ベニオフ氏は、決算報告会で「フェデックス、アデコ、アクセンチュア、エース・ハードウェア、IBM、RBCウェルスマネジメントなど多くの企業が、セールスフォース・プラットフォーム上でAgentforceを活用してデジタル労働力を構築しています」と述べました。
AIソフトウェアが生産性向上を支援する可能性があることから、生成AIソリューションへの関心は非常に高まっています。
AI需要の高まりが業界全体を後押し
ウェドブッシュのアナリストであるダン・アイブス氏は、セールスフォースについて「現在、パランティア・テクノロジーズのような主要企業とともに、AIによる収益化を推進しており、CRMを含む広範なソフトウェア部門にとって強気な材料」と評価しました。同氏は、セールスフォースの格付けを「アウトパフォーム」とし、目標株価を375ドルと設定しています。
一方、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は11月4日の第3四半期決算で予想を上回る業績を発表し、通年の業績見通しを上方修正しました。CEOのアレクサンダー・カープ氏は、「最先端のAI技術に対する揺るぎない需要がある」と述べています。
この流れはサービスナウ(NOW)でも同様で、同社は10月23日に予想を上回る売上を発表しました。既存顧客および新規顧客がAI製品への投資を増やしていることを同社幹部が明らかにしています。また、シスコシステムズ(CSCO)のチャック・ロビンスCEOも11月13日に「顧客はAI関連インフラへの投資を積極的に行っている」と述べました。
ソフトウェア市場に恩恵をもたらすAI投資
AIへの投資は企業にとって大きな負担となる場合もありますが、その恩恵を享受しているソフトウェア企業の事例が増えています。テクノロジーセレクトセクターSPDR ETFは今年に入って25%上昇し、ソフトウェア企業の売上が相次いで発表された10月末以降も8.2%の上昇を記録しています。
AI需要の拡大は、今後もテクノロジー業界を支える重要な要因であり、セールスフォースをはじめとする多くの企業がこの波に乗っています。