モルガン・スタンレーは12月3日、テーザー銃や警察向けテクノロジーを提供するアクソン・エンタープライズ(AXON)の格付けを「オーバーウエイト」に格上げし、目標株価を200ドル引き上げ、700ドルに設定しました。同社のソフトウェアポートフォリオの拡大や人工知能ソリューションの採用を背景とした力強い成長が期待されています。
アクソンの株価はこの発表を受け、3日の米国市場正午の段階で1.12%上昇し、643.5ドルとなっています。
持続可能な成長と新製品採用の広がり
モルガン・スタンレーのアナリストによると、アクソンが提示した25~30%の売上成長は、長期的に持続可能なものと考えられています。その要因として、高価格なソフトウェアバンドルの普及や、ドローンやナンバープレートリーダーといった新製品の採用拡大が挙げられます。
また、アクソンは公共安全分野で築いた強力な関係性により、競合他社が容易に参入できない障壁を形成しています。この点がアクソンの市場優位性をさらに高めています。
総対象市場(TAM)の可能性
モルガン・スタンレーは、アクソンの総対象市場(TAM)が770億ドルに達すると指摘しています。その大部分が未開拓であることは、同社にとってさらなる成長の余地があることを意味します。
特に注目されるのは、アクソンが提供するAI製品「ドラフト・ワン」です。同製品は発売後わずか3か月で1億ドルのパイプラインを生み出しました。AIポートフォリオが他製品に比べて高い価値を持つとされることから、今後の評価上昇につながる可能性があります。
高い評価と成長の信頼性
アクソンの株価は年初来で約150%の上昇を記録し、2026年の売上予想の14.5倍という高い評価を受けています。しかし、モルガン・スタンレーは過去5年間の平均成長率が40%を超える点を挙げ、30%の成長率の持続可能性を信頼できると評価しています。さらに、アクソンの独自性がプレミアムな評価を支える基盤となっています。
公共安全市場での優位性
アクソンは、警察のテクノロジー予算の増加や、同等のソフトウェアソリューションを提供できる競合他社が少ないことを背景に、公共安全市場で強固な地位を築いています。
一方で、公共の税収への依存や規制の変化、新しいハードウェアやソフトウェアソリューションの導入の遅れなどは、同社にとってリスク要因となる可能性があります。
今後の展望
アクソン・エンタープライズは、成長余地の大きい未開拓市場と、革新的な製品群を持つ企業として、引き続き投資家の注目を集めそうです。モルガン・スタンレーによる格上げや市場予測は、同社が長期的に高い成長性を維持する可能性を示唆しています。
このように、アクソンはテクノロジーとAIを活用した公共安全ソリューションのリーダーとしての地位を確立しており、今後のさらなる成長が期待されます。
*過去記事はこちら アクソン AXON