マーベル・テクノロジー(MRVL)の株価が12月3日のアフターマーケットで10.83%上昇し、106.3ドルに達しました。これは、同社が発表した10月期の売上が四半期比19%増の15億2,000万ドルに達し、ウォール街の予測である14億6,000万ドルを上回ったことを受けてのことです。同社の株価は今年に入ってからすでに76%上昇しています。
10月期の1株あたり利益は現金ベースで43セントと発表され、これも市場予測の41セントを上回りました。
データセンター向けAIチップが業績を牽引
マーベルの成長を最も後押ししたのは、アマゾン・ドット・コム(AMZN)やその他の大規模データセンター運営企業向けの新カスタムAIアクセラレーションチップの売上でした。この製品は、今日の巨大なAIソフトウェアモデルを動かす中核的な役割を果たしています。
同社のマット・マーフィー最高経営責任者(CEO)は、来年1月で終わる2025年1月期の売上予測を18億ドル、1株当たり利益を59セントと発表しました。この予測も市場予測の16億5,000万ドルを上回るもので、一般会計基準(GAAP)ベースでの純利益も報告する見込みとしています。
ただし、今年度は7億ドル以上の構造改革費用を計上しており、これが10月期だけで約3億6,000万ドルに上ります。しかし、キャッシュフローは堅調を維持しており、10月期のフリーキャッシュフローは4億6,000万ドルで、ウォール街の予測を大幅に上回りました。
AI製品がその他セクターの売上減少を補完
マーベルは最先端AI製品の売上増加により、通信、自動車などその他セクターでの大幅な売上減少を補っています。同社のその他セクター向け売上は前年同期比で半減し、8億5,000万ドルから4億1,500万ドルに落ち込みました。ただし、直近の四半期では前四半期比で若干の増加を見せています。
一方で、データセンター向け製品の売上は前年同期比で倍増し、11億ドルに達しました。このカテゴリーの売上比率は、2023年10月期の39%から今回の四半期では73%に大幅増加しました。
AI関連チップの今後の成長見通し
マーベルは、AIネットワークおよびカスタムプロセッサチップが今年の売上15億ドル、来年は25億ドル以上をもたらすと予測しています。この見通しについてマーフィーCEOは「すでに予測を超えつつある」とコメントしています。
オッペンハイマーのアナリスト、リック・シェーファー氏は、マーベルのカスタムチップ4種それぞれが来年10億ドルの売上を達成する可能性があると見ています。アマゾン向けのTrainiumチップやグーグル(GOOGL)向けのAxionチップはすでに生産が進行中で、2025年にはアマゾン向けのInferentiaチップも生産開始予定です。さらに、2025年末にはマイクロソフト(MSFT)向けのMaia-2の出荷が始まる予定で、これが最大の売上を達成する可能性があると期待されています。
マーフィーCEOは、これらのカスタムチップ契約が「複数世代」にわたるものであることを強調しました。同社は2028年までにデータセンター向けアクセラレータチップ市場の25%を獲得し、400億ドル以上の売上を目指しているとしています。
成長軌道に乗るマーベル
マーベル・テクノロジーは、AI分野での強力な進展によって収益基盤を急速に再構築しています。通信や自動車分野での課題を克服しつつ、データセンター向け製品の売上拡大により、同社は長期的な成長軌道を描いていると言えます。