12月2日、ロク(ROKU)の株価が11.62%、トレードデスク(TTD)の株価が5.14%上昇しました。これは、グッゲンハイムのアナリスト、マイケル・モリス氏が両社の提携の可能性を示唆したことが市場で注目されたためです。
モリス氏のメモでは、トレードデスクが新たに発表したコネクテッドTV向けオペレーティングシステム「Ventura」が取り上げられています。同氏は、このOSが単独で市場に挑む場合、ロクの新たな競合となる可能性があるとしつつも、両社が協力すれば大きなメリットを生む可能性があると指摘しました。
コネクテッドTV市場の現状と課題
コネクテッドTV市場で新たなOSを展開するのは容易ではありません。この分野では、ロクのほかにアルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)、アップル(AAPL)、コムキャスト(CMCSA)、チャーター・コミュニケーションズ(CHTR)といった大手企業が競争を繰り広げています。モリス氏は、「Venturaが市場に影響を与えるには相当の時間がかかる」と分析しています。
一方で、ロクはストリーミング視聴世帯数やプラットフォーム売上を堅実に伸ばしており、特にアマゾンやアルファベットといった大手企業に対抗する上で、優れた立場を築いているとされています。
提携の可能性がもたらす双方のメリット
モリス氏によると、トレードデスクはロクの8500万世帯以上におよぶ世界的なストリーミング視聴世帯数を活用することで、新たなOSの市場展開を加速させる可能性があります。一方、ロクはトレードデスクの持つファーストパーティデータや拡大中のコネクテッドTVインベントリを活用することで、広告主の増大する需要に対応できるとしています。
「トレードデスクとロクの統合は、個別の課題を上回る大きな利点をもたらし、両社が長期的にコネクテッドTV市場で競争優位性を確保し、企業価値を高めるための最善の選択となる可能性がある」とモリス氏は述べています。
市場の反応と注意点
モリス氏はこの提案が仮説にすぎないことを明記しており、「現在進行中の戦略的協議についての情報を持っておらず、その可能性についても評価していない」と強調しています。しかしながら、市場は敏感に反応し、12月2日の終値はトレードデスクが5.14%上昇して135.16ドル、ロクは11.62%上昇して77.05ドルとなりました。
今後の展開に注目
両社の提携に関する公式な発表は現時点でありませんが、提携の可能性がもたらす相乗効果については引き続き注目されます。コネクテッドTV市場の競争が激化する中、ロクとトレードデスクの動向が業界全体に与える影響に目が離せません。
*過去記事はこちら トレードデスク TTD