インテル(INTC)の最高経営責任者(CEO)であるパット・ゲルシンガー氏が、2024年12月1日付で退職したことが発表されました。同時に、同氏は取締役の役職も辞任しました。このニュースを受けて、2日の米国市場でインテル株は急騰し、正午前には5.8%増の25.44ドルに達しました。
暫定CEOに2人の幹部が選出
インテルは新たなCEOの選定プロセスを開始するまでの間、暫定共同CEOとしてデビッド・ジンズナー氏とミシェル・ジョンストン・ホルタウス氏を指名しました。ジンズナー氏は現在、執行副社長兼最高財務責任者(CFO)を務めており、ホルタウス氏はインテル・プロダクツのCEOに任命されています。
さらに、取締役会の独立議長であるフランク・イェーリー氏が、移行期間中の暫定CEOとして指揮を執る予定です。同氏は声明で次のように述べています。「製造競争力の回復と世界トップクラスのファウンドリ企業を目指す中で、これまで多くの進展を遂げてきましたが、さらなる課題にも全力で取り組み、投資家の信頼を取り戻していきます。」
ゲルシンガー氏の在任中の株価動向
ゲルシンガー氏は2021年2月15日にインテルのCEOに就任しましたが、その間に株価は大幅に下落しました。ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによれば、同氏の在任期間中の株価は約61%の下落を記録しました。
シュティフェルのアナリスト、ルーベン・ロイ氏は今回の交代について「新たな視点の導入は理にかなっている可能性がある」と述べています。ただし、ファウンドリ事業のさらなる方向転換や、AI分野の拡大に向けた技術開発が遅れるリスクも指摘されています。
株価上昇と業界全体への影響
今回の経営陣刷新により、投資家の間では好感が広がっています。この日、インテル以外の半導体関連企業の株価も上昇しました。
- エヌビディア(NVDA)は0.6%増
- 台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)は4.8%増
- ブロードコム(AVGO)は2.7%増
- クアルコム(QCOM)は1.9%増
- アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は3%増
インテルの経営陣交代は、同社だけでなく、業界全体にもポジティブな影響をもたらしています。
今後の展望
インテルは、製造能力の向上やファウンドリ事業の拡大を進める中で、新CEOの選任が事業戦略の鍵となると考えられます。特に、急成長するAI市場での競争力確保が課題です。今後の発表や業績が投資家にとって重要な注目ポイントとなります。