米国大手銀行のJPモルガン・チェースが、フィンテック系貸付業者の格付けを引き下げたことにより、12月2日の米国市場で複数の関連銘柄の株価が大きく下落しました。JPモルガンは金利の低下や資金調達条件の改善により、2025年には融資環境が有利になると予測する一方で、現在の評価額には懸念を示しています。
アップスタートの株価は14%下落
アップスタート・ホールディングス(UPST)の格付けは、JPモルガンにより「中立」から「アンダーウェイト」に引き下げられ、2日午前の段階で株価は14%の下落を記録しました。同時に、AIを活用した融資プラットフォームで知られる同社の目標株価は45ドルから57ドルに引き上げられましたが、直近の終値と比較すると28%低い水準となります。
JPモルガンによると、融資資金調達の環境は2025年には改善すると見込まれていますが、アップスタートの現在の評価額は予想売上高の約9倍と高水準であると指摘されています。また、今年に入ってからアップスタートの株価は90%以上上昇しているものの、過去に70ドルを超えて取引されていた時期には年間取引額が約130億ドルと、現在の約8倍に達していたと説明されています。
*過去記事はこちら アップスタート UPST
レンディングクラブも7%下落
レンディングクラブ(LC)は、JPモルガンによる格付けが「中立」に引き下げられた影響で株価が7%下落しました。JPモルガンは、レンディングクラブよりも成長の速い同業他社を支持する姿勢を示しており、この判断が株価の下落要因となっています。
*過去記事「フィンテック業界に明るい未来!レンディングクラブ株価急騰の要因を徹底解説」
アファームはわずかに上昇
アファーム・ホールディングス(AFRM)は、JPモルガンが目標株価を56ドルから74ドルに引き上げたことで、株価が一時1%上昇しました。JPモルガンは、電子商取引の広範な課題にもかかわらず、アファームの売上や取引量が新型コロナウイルス感染症流行前の水準を超えている点を強調しています。また、同社の収益性の改善と信用力の強さにも注目しています。
*過去記事「金利引き下げの恩恵を受けるアファーム、今が買いのタイミングか?」
フィンテックセクターの今後の展望
JPモルガンの評価は、フィンテック系貸付業者に対する市場の期待と課題を浮き彫りにしました。金利環境や資金調達条件の改善が見込まれる中、これらの企業の業績や評価額がどのように変化していくのかが注目されています。一方で、投資家は高い評価額と現状の売上とのバランスを慎重に見極める必要があります。