バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)の株価が11月27日に上昇し、過去最高値を記録しました。同社が自社株買いを行わない選択をしているにもかかわらず、投資家は引き続き同社に魅力を感じています。
バークシャーのクラスB株は午前の取引で2.5%上昇し、490.33ドルとなり、クラスA株も2.4%上昇して735,800ドルに達しました。この動きを説明する目立ったニュースは見当たりませんが、投資家心理の強さが示されています。
バフェット氏の財団への寄付と後継計画
94歳のウォーレン・バフェット氏は今週初めに、4つの家族財団に10億ドル以上のバークシャー株を寄付することを発表しました。また、自身の死後に現在約1510億ドルの価値があるバークシャー株の14%を3人の子供たちに寄付する計画も明らかにしています。
株価の動きと市場全体のパフォーマンス
バークシャー・ハサウェイの株価はS&P 500種株価指数(SPX)とともに堅調に推移しており、26日には過去最高値を更新しました。同社のクラスB株は2024年に入ってから約35%上昇しており、同指数の28%を上回るパフォーマンスを示しています。同社の時価総額は現在1兆500億ドルです。
バークシャーの株価評価は依然として高く、2025年の予想売上に基づくと1株当たり利益の約24倍で取引され、9月30日時点の帳簿価格の約1.7倍となっています。これに対して、過去の取引水準は帳簿価格の1.4倍〜1.5倍の範囲内でした。
ルックスルー利益とポートフォリオの特徴
一部の投資家は、バークシャーが保有する株式ポートフォリオ企業の利益を考慮した「ルックスルー利益」に注目しています。この利益を基にした株価収益率(P/E)は約20倍と計算されています。ただし、バークシャーは一般に公正妥当と認められた会計原則に基づき、ポートフォリオ企業からの配当収入のみを純利益として計上しています。
自社株買いへの慎重な姿勢
バークシャー・ハサウェイの自社株買いは、バフェット氏が株価を「本質的価値」を下回ると判断した場合にのみ実施されます。しかし、6月から10月21日までの間、同社は自社株買いを行いませんでした。2023年全体では約90億ドル分の自社株を買い戻しましたが、今年に入ってからの買い戻し総額は29億ドルにとどまり、発行済み株式の1%未満となっています。
バフェット氏は今年に入り、積極的に株式を売却しています。同氏はバークシャーのポートフォリオから1000億ドル以上を売却し、第3四半期末時点で現金および現金同等物の保有額を3110億ドルとしました。これは過去最高額となります。
保有株式の動向
バークシャー・ハサウェイは今年、アップル株の約3分の2を売却しましたが、売却のタイミングはやや不利だったと見られています。アップルの株価は現在235ドルに迫っており、推定売却価格の190ドルを大幅に上回っています。それでも、バークシャーは9月30日時点で約3億株のアップル株を保有しており、依然として同社の主要株主です。
バークシャーへの信頼と財務体質
バフェット氏の高齢や多額の現金準備、最近の自社株買いの停止などにもかかわらず、投資家は同社株への信頼を失っていません。同社は年間約450億ドルの純営業収益を上げており、その多様な収益源と堅実な財務基盤が支持される要因となっています。さらに、将来的な投資機会に備えた莫大な現金保有が、同社のさらなる成長を支えると予想されています。
バークシャー・ハサウェイのストーリーとバフェット氏の長年の成功は、引き続き多くの投資家を魅了しています。
*過去記事「バークシャー・ハサウェイ、アップル株を大量売却」